昨年の韓国映画、最も評価されたのは?

「昨年の発見」キム・ゴウンは「加工ゼロの魔力」
そっぽ向かれた秀作『未熟な犯罪者』

昨年の韓国映画、最も評価されたのは?

 韓国では昨年1年間で464本の映画が公開され、約1億8716万人(12月24日現在)が映画館を訪れた。昨年の映画界の総決算として、映画評論家、ジャーナリスト、映画上映企画担当者など専門家20人を対象に「昨年の発見」「過大評価された映画」「過小評価された映画」に関するアンケートを実施した。1項目当たり三つまでの複数回答。回答者のほとんどは前の2項目で1-2の回答を、最後の項目では三つ、あるいはそれ以上の回答を寄せた。

■「昨年の発見」は

 最も優れた新人を対象にした「昨年の発見」部門。俳優では『ウンギョ』のヒロインを演じたキム・ゴウンが5票を得て1位に選ばれた。純粋で官能的な10代の少女を見事に演じたキム・ゴウンに対し「その登場と共に『加工されていない俳優の魔力とは何か』を一瞬にして証明した。情緒の幅を感じさせる演技を見せてくれた」(チャン・ソンラン氏)といった高評価が多く寄せられた。

 新人監督部門ではアンケート回答者の約半数が難色を示した。「『昨年の発見』といえるような人物がいない」として、従来の監督の中に「再発見」があった、あるいは全く回答しないケースが多かった。その結果、『折れた矢』『南営洞(ナミョンドン)1985』のチョン・ジヨン監督が「韓国映画界で唯一、タブーに挑む監督」(キム・ヨンジン氏)、「中堅監督の実力をあらためて見せてくれた」(キム・ギュハン氏)などと評価され、5票を集め1位になった。

 『犯罪との戦争』『隣人』の俳優キム・ソンギュンは4票、『ミンクコート』のシン・アガ、イ・サンチョル監督、『オオカミ少年』のチョ・ソンヒ監督、『私の妻のすべて』の俳優リュ・スンリョンがそれぞれ3票だった。シン・アガ、イ・サンチョル監督に対しては「韓国社会の病理現象を鋭く描いた」(チャン・ビョンウォン氏)などと評価された。

■過大評価された映画

 「過大評価された映画」には昨年の話題作がそろって名を連ねた。ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したキム・ギドク監督の『ピエタ』が5票と最も多かった。「作品そのものよりも、映画界や一般の人々がこの映画に対し示した反応が『過大』」(イ・ヨンチョル氏)、「キム・ギドク監督の最高傑作ではないのでは」(チョン・チャンイル氏)という声だ。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されたイム・サンス監督の『カネの味』と、1200万人を超える観客を動員して韓国映画で歴代興行成績2位になったチュ・チャンミン監督の『王になった男』は各4票で2位だった。『カネの味』は「芸術映画、商業映画、アダルト映画というどの分野でもすさまじく失敗した」(チャン・ソンラン氏)、 『王になった男』は「イ・ビョンホンのワンマンショー」(カン・ユジョン氏)と評された。チェ・ドンフン監督の『泥棒たち』、チョ・ソンヒ監督の『オオカミ少年』、キム・ジュホ監督の『風と共に去りぬ』、パク・ジョンウ監督の『ヨンガシ』など、今年の興行成績ベスト10に入った韓国映画も各2票だった。観客451万人を動員した『ヨンガシ』に対しては「興行的には成功したが、あらゆる点で物足りない作品。正直言ってこの映画について言及する時間すらもったいない」(チョン・ジウク氏)と酷評する声もあった。

■過小評価された映画

 「過小評価された映画」に選ばれた作品は、他部門の回答数の2倍以上も多かった。昨年の観客数はどの年よりも多かったが、特定の作品に集中する傾向が強かったという専門家の認識が反映された結果だろう。韓国映画のシェアが高かったためか、この部門では外国映画が半分以上を占めた。

 1位はそれぞれ3票を集めたカン・イグァン監督の『未熟な犯罪者』とリドリー・スコット監督の『プロメテウス』だった。『未熟な犯罪者』には「現実の状況・テーマ意識などについて、もっと多くの人が見て話し合うべき」(ナ・ユギョン氏)、『プロメテウス』には「創造に対する黙示的ビジョンの傑作。いつか復活するだろう」(チャン・ビョンウォン氏)と評価された。そして、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の『自転車と少年』、チョン・ジウ監督の『ウンギョ』、ミン・ビョンフン監督の『Touch』、クァク・キョンテク監督の『醜いアヒルの子』が各2票を得た。興行性が低いと判断して上映館を十分に確保しなかった大手映画館に反発、公開1週間で監督自ら上映中止を宣言した『Touch』に対しては「韓国で苦しむ大勢の人々にこれほど迫った映画はなかった」(イ・ヨンチョル氏)と高く評価された。

※アンケートにご回答くださった方々(ハングル順):カン・ユジョン、クァク・ヨンジン、キム・ギュハン、キム・ヨンジン、キム・ヒョンソク、キム・ヒョンホ、ナ・ユギョン、パク・ヘヨン、シン・ジヘ、オ・ドンジン、イ・ドンジン、イ・サンヨン、イ・ヨンチョル、チャン・ビョンウォン、チャン・ソンラン、チョン・チャンイル、チョン・ジウク、チェ・グァンヒ、ハン・チャンホ、ファン・ヒヨンの各氏

昨年の韓国映画、最も評価されたのは?

卞熙媛(ピョン・ヒウォン)記者
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