2012年は韓国映画史においてどんな意味を持つ1年だったのだろうか。
専門家20人に昨年の韓国映画界を一言で評価してもらったところ、8人から肯定的な答えが返ってきた。「新たな飛躍」(イ・ヨンチョル氏)、「ルネサンス」(パク・ヘヨン氏)、「ビッグバンであり、リ・ルネサンス」(チョン・チャンイル氏)、「新黄金期が始まった年」(クァク・ヨンジン氏)などだ。「韓国映画の飛躍の年」と答えた映画前売りサイト・マックスムービーのキム・ヒョンホ・チーム長は「韓国映画がオフシーズンにも客を集められたのは、それだけ質的な満足度が高かったためだ」と語った。
反対に、批判や懸念の声もあった。「産業の豊年、趣向の凶年」(ファン・ヒヨン氏)、「外華内貧」(キム・ヨンジン氏)、「豊かさの中の貧しさ」(イ・ドンジン氏)など、見かけは華やかになったものの中身は不十分だとの評価が散見された。
昨年を「韓国映画の戦国時代」と評した映画ジャーナリストのチェ・グァンヒ氏は「さまざまなジャンルで企画の緻密(ちみつ)さと興行戦略が際立つ作品が相次ぎ登場し、韓国映画のパイ(市場規模)が大きく拡張した1年だった。だが同時に、観客を甘く見たレベルの低い作品も少なくなかった」と指摘した。
また「資本の論理に侵食された年」(キム・ギュハン氏)、「貧しい者はより貧しく、金持ちはますます金持ちに」(チャン・ソンラン氏)など、大企業による映画界の独占・寡占状態や二極化を批判する回答もあった。
評論家のチョン・ジウク氏は、昨年は初の観客1億人突破という大きな記録を打ち立てた韓国映画の「華やかなバブル期」だったと指摘。一方で「観客動員数の記録作りに熱を上げていた一部の人々は、スクリーンの独占・寡占で涙を流した人にほとんど配慮しなかった」と批判した。