映画専門家20人に「昨年の映画の名場面&名セリフ」を尋ねた。専門家たちが寄せた回答は『泥棒たち』のような大ヒット商業映画から『テイク・ディス・ワルツ』などの外国映画まで、さまざまな作品から選ばれたものだった。
まず、『泥棒たち』のアクションシーン。17階建てのビル外壁でマカオ・パク(キム・ユンソク)と犯罪組織メンバーが繰り広げるシーンだ。銃弾が降り注ぐ中、キム・ユンソクがワイヤー1本を頼りにかろうじて切り抜ける姿に、多くの観客がヒヤヒヤした。1カ月間かけて釜山・ソウル・仁川の3カ所で撮影したもので、キム・ユンソク自身も「これが私の最後のアクションではないかと思う」と語ったほどだ。
揺れ動く感情が際立つシーンも多数挙げられた。『ウンギョ』のイ・ジョクヨ(パク・ヘイル)が横になり背を向けたままウンギョ(キム・ゴウン)に別れを告げるシーンは「さまざまな感情を比喩的に表現した、余白と抑制の美学」(チャン・ソンラン氏)と評価された。評論家オ・ドンジン氏は『王になった男』でホ・ギュン(リュ・スンリョン)が本物の王を捜しに出て泣き叫ぶシーンを挙げ「俳優2人の動きは全くないが、2人の胸中に吹き荒れる嵐が感じられる」と評した。キム・ギドク監督が「イエス・キリストが十字架に架けられるシーンを別の方法で表現した」という『ピエタ』のラストシーンも「キム・ギドク監督ならでは」(キム・ヒョンソク氏)と注目された。外国映画では『ニーチェの馬』(6日目の状況)、『007 スカイフォール』(オープニング・クレジット)、『アベンジャーズ』(ハルクのアクションシーン)が支持された。
最も注目されたセリフは『犯罪との戦争』で主演チェ・ミンシクとハ・ジョンウが言った「生きていたのか」だった。「映画の性格を凝縮したシャープな一言」(カン・ユジョン氏)と評された。また、生き方が垣間見えるセリフも多数挙げられた。「お前の若さが努力で手にした賞でないように、私の老いも過ちを犯して受けた罰ではない」(『ウンギョ』)、「人生には隙があるものだ。それをおかしくなったヤツのようにいちいち埋めながら生きることはできない」(『テイク・ディス・ワルツ』)などだ。『建築学概論』では「納得がいかない。納得が」「どうしたらいい?」「それがキス?」などの「ナプトゥギ(チョ・ジョンソク)語録」が支持された。