35年目の「大学歌謡祭」、今年は日程も決まらず

 毎年秋に大学生たちが生き生きとした歌を披露してきたMBC大学歌謡祭。しかし、35回目を迎える今年は、まだ日程すら決まっていない。MBCでは大学歌謡祭専門チームを組織していないという。例外はあったものの、例年なら9‐10月に大学キャンパスで野外公演が行われてきたが、昨年は11月下旬に、野外でなく体育館で開催された。MBCでは「現時点で開催が決まっても、応募期間や入試期間を考えると、早くても11月か12月に開催できるかどうか」と話している。

 大学歌謡祭は、歌謡曲の需要が爆発的に増えた1980年代半ばまで「大賞を取れば年末の新人歌手賞も間違いなし」と言われるほど、大衆音楽界で「絶対的な権力」を誇った。同歌謡祭出身の歌手としてはユニット「ト音記号」(85年)、ユ・ヨル(86年)、バンド「無限軌道」(シン・ヘチョル、015Bのチョン・ソクウォンらが参加、88年)などが有名だ。また、シム・スボン、ペ・チョルス、ノ・サヨンら実力派歌手も同歌謡祭に出場している。

 しかし、「展覧会」(93年大賞)やイ・ハンチョル(94年大賞)を最後に、芸能界で活躍する受賞者がめっきり減った。2000年代初めに大賞に輝いたが、今は会社勤めをしている男性(30)は「ミュージシャンになる夢を胸に参加し、トップに立ったが、その随分前に世間の関心は大学歌謡祭から離れてしまっていた」と話す。

 専門家は「アイドルを抱える芸能プロダクションがK‐POP界を握り、オーディション・ブームが吹き荒れている結果」という。特に、2009年にケーブルテレビチャンネルMnetのオーディション番組『スーパースターK』がスタートして以降、大学歌謡祭の潜在的な需要層だった実用音楽専攻の大学生たちが多数、同番組に流れており、それが決定的な衰退の原因になったとみられている。歌手志望の大学生にとっては、高視聴率で一般の反応がすぐに分かる『スーパースターK』の方が、大学歌謡祭よりも魅力的ということだ。

 大衆音楽評論家パク・ジュンフム氏は「伝統の歌謡祭が一つ、また一つと消えることになったのは、国民が無関心になったせいもあるが、一般人が自然とそうするようになったのか、それとも歌謡界関係者がそうさせているのかは詳しく調べてみるべき」と語った。そして「実力があるミュージシャン予備軍のためにも、コンテストの機会がなくなるのは、大衆音楽の発展に肯定的だとはいえない」と指摘した。

鄭智燮(チョン・ジソプ)記者
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