『花男』制作会社代表「ヒットしなかったら死のうと…」(上)


 大ヒット中のドラマ『花より男子』(KBS第2)を生んだ場所、制作会社グループエイトの事務所(ソウル市竜山区漢南洞)で会ったソン・ビョンジュン代表は、終始淡々としていた。ドラマが大当たりし、お祭りムードかと思っていたが、意外にも『花より男子』より次の作品『耽羅は島だ』の制作と編成に気を取られている様子だった。しかし話をするにつれ、『花より男子』にまつわるこれまでの苦労が明らかになり、制作費を捻出するために1年間「国際的な物乞い」をしてきたエピソード、そして「このドラマがヒットしなかったら自殺する、という言葉を口癖のようにして暮らしてきた」という仰天告白まで飛び出した。

 「昨年1年間、『花より男子』と『耽羅は島だ』の準備を同時に進めたことで、合計127億ウォン(約8億1225万円)が必要だった。でも市場は厳しくて…。韓国では10億ウォン(約6400万円)しか集めることができなかった。どちらの作品もなかなか編成が決まらなかったため、テレビ局から制作費を受け取ることもできなかった。抵当に入れられるものはすべて入れ、借りられる金はすべて借りたけれど、全然足りかった。そのため日本・台湾・香港・フィリピンなどに電話をかけ、“物乞い”をして回るしかなかった。企画案だけを見せ、輸出額の半分を先払いで入金してほしいと頼んだところ、みんな僕の言葉を信じて振り込んでくれた。その投資金がなかったら制作はできなかっただろう」

 このように「外」からは温かい手が差し伸べられたものの、「内」では四面楚歌に追い込まれた状態だった。「新人を主人公にした高校生ドラマ」を受け入れるテレビ局はなかった。「主人公をトップスターにしろ。高校生では幼すぎるから大学生という設定にしろ」という要求が相次いだ。飢え死にしたとしてもコンテンツの質は落とせない、と強情を張ったことにより、編成はさらに難しくなった。


 結局、MBCとSBSから断られ、何とかKBSで編成が決まった。それも、トップスターを起用したドラマの半分程度にしかならない制作費を受け取り、スポンサーが全部決まったら残りの制作費が支払われるという条件だった。企画だけに3年かけ、キャスティングを早々と終えていたドラマが、超ハードなスケジュールで制作された背景はここにある。しかし天は見放さなかった。初回放送とともにドラマは大反響を呼び、地をはっていたプライドは翼を得て羽ばたいた。連日のように自己最高視聴率を更新し、ついに人気ドラマ『エデンの東』(MBC)を超え、視聴率1位を奪い取るまでになった。まだ編成が決まっていないもう一つのドラマ『耽羅は島だ』も先行きは明るそうだ 。冗談半分だろうが、自殺まで考えたというソン代表が、死なずに済むことになったというわけだ。

-ヒットするという確信はあったか。

 「台湾でも日本でもブームを巻き起こしたドラマだ。韓国でも必ずヒットすると確信していたが、視聴率は期待以上だ。『宮~Love In Palace』も話題にはなったが、『マイガール』が最終回を迎えた後に視聴率が1位になった。今回も『エデンの東』を追い越すことができるとは思っていなかった。視聴率も話題性も、これ以上望むことはない。無事このままドラマの面白さが減退することなく続いてくれたらと思っている」

-完成度について、物足りなく感じている人もいるようだが。

 「途中でプロデューサーが変わり、編成も遅れたため、時間が絶対的に足りなかった。音楽やCG、色の補正など幾つかの面で心残りな点が多い。良いシーンを撮るために全国を回ったことも、大変だった点の一つ。テレビでは何の変哲もない校内シーンだが、ロケは啓明大学のほか、食堂は坡州のブックカフェや清潭洞のレストランといったように、さまざまな場所でロケをした。プールのシーンで使用されたアヒルのCGについては指摘が多いが、本物のアヒルを使ったのは事実。

アヒルを泳がせたシーンを既存のプールのシーンと重ねる際、CGの処理が甘かったようだ」

チョン・ギョンヒ記者
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