インタビュー:『ピノキオ』で花開いたイ・ジョンソク

インタビュー:『ピノキオ』で花開いたイ・ジョンソク

 俳優イ・ジョンソクは、SBSドラマ『ピノキオ』(2014年11月-15年1月)で社会部記者チェ・ダルポを演じた。パク・シネ、キム・ヨングァン、イ・ユビら同年代の俳優たちのほか、キム・ヘスク、チン・ギョン、イ・ピルモ、ピョン・ヒボン、シン・ジョングンら先輩たちと共演。『シークレット・ガーデン』『ハイキック3~短足の逆襲』『学校2013』『君の声が聞こえる』『ドクター異邦人』へとつながるイ・ジョンソクの歩みは、『ピノキオ』で花開いた。全出演作が視聴率で注目を浴び、話題性でほかを圧倒した。

 イ・ジョンソクが自らを評価する尺度は、外部の人々が自身を見つめる華やかな視線とは違う。ヒット作を出すことで知られる制作スタッフとタッグを組んできたが、まだ何かが足りないという思いばかりだ。昨年のSBS演技大賞で受賞したときに口にした言葉は、自分自身を支えてきた「初心」であり、今後も見せるべき「真心」だった。「『フィルモグラフィー管理をしない』という言葉は、俳優として僕は演技をするだけで、『この作品はヒットするだろう』とか『ヒットしないだろう』といったことを基準に選ばないという意味。良い演技を続けたいという覚悟だったと思う」とイ・ジョンソクは当時を振り返った。

 イ・ジョンソクは『ピノキオ』の撮影に臨むに当たり、『君の声が聞こえる』演出のチョ・スウォン・プロデューサーや脚本家パク・ヘリョンと再会できたことに感謝の気持ちを感じたという。撮影期間中、『君の声が聞こえる』で共演した女優イ・ボヨンの家に招待され、チョ・スウォン・プロデューサーら当時のスタッフと食事をし、会話を交わす機会がたびたびあったというイ・ジョンソクは「年上の方々」と話すことで考えが深まったそうだ。『ピノキオ』撮影ではチョ・スウォン・プロデューサーのそばを離れず、愛嬌(あいきょう)を振りまいていたが、パク・シネをはじめとする女優たちにとっては「ライバル」でもあった。「台本を見ると優しい人、良い人であることが分かる」と称賛の言葉から切り出したパク・ヘリョンへの感謝はさらに大きい。だから、感謝すべき人々、心温まる現場として思い出になった『ピノキオ』でSBS演技大賞の撮影スタッフ賞を獲得したことは、イ・ジョンソクを喜ばせた。

 イ・ジョンソクは「完生」(囲碁で、眼が二つ以上で絶対に相手に取られない石の状態・活き石)の道を歩いている。『ピノキオ』はその道のりへの大きな折り返し点になった。セリフを言いながら「のどが十分開いていない」と感じるほど、技術的に演技力が不足していると限界を感じた作品だった。感情を表すシーンで役に入り込むのはそう難しくなかったが、日常のシーンを演じるナチュラルさを出すのが課題だということにも気付いた。「まだ頭の中に余裕がないので、演じるのが難しい。カメラの前に立つと緊張して震える」と告白した。

 これまで以上に大きな可能性を発見した作品でもある。「やればやるほど演技がもっとうまくなりたい」と思い「デビューしてから休んだことはないが、カメラの前にいなければ自分の存在が無意味に感じられる」ほどどん欲なトップ俳優だということをあらためて思わせた。

 イ・ジョンソクの昨年の夢は「自分でも気付かなかった自分の姿を発見したい」だった。 「その夢はかなった?」と聞くと、イ・ジョンソクは返事ができなかった。「そのようだ」と言葉を濁したので「その夢を今年も持ち続けてみては?」と提案したところ、心が軽くなったかのようにほほ笑んだ。

 「それも良い。今年も『イ・ジョンソク自身も気付かなかったイ・ジョンソクの新たな姿』を発見することを目標にしなければ。それでも、今は空港で出入国申告書類を書くとき、『職業欄』に『俳優』と書いている。以前は『学生』と書いていた(笑)。自信が生まれたのだろうか。やりたいことはたくさんある。もっと幅広い役を演じられる映画もやってみたい。これまではほとんどが親がいなくていろいろ複雑な事情を抱えながらもまじめに生きる『完璧な人物』が多かったが、今はかっこいい服を着たリッチな財閥2世の役も演じてみたい(笑)」

インタビュー:『ピノキオ』で花開いたイ・ジョンソク

カン・ミンジョン記者
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