キム監督、今後の待遇どうなる?=ベネチア映画祭

「より大衆性の強い作品を作らなければ投資状況は変化しないだろう」

 「ベネチア後のキム・ギドクは、ベネチア前のキム・ギドクとどう変わってくるか」。キム・ギドク監督がベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、世界最高の地位に立ったことから、映画界で関心が高まっている。

 まず、キム監督に対する韓国映画界での待遇は変わるのだろうか。キム監督は今まで投資金の誘致や上映館の確保に苦労してきた。昨年の作品『アーメン』『アリラン』は韓国国内で正式上映さえできなかったほどだ。

 映画関係者は「ベネチア国際映画祭以降も、このような状況が大きく変わることはないだろう」と話している。映画投資会社の関係者は「上映作への投資で重要なのは芸術性よりも大衆的なコードだ。『ピエタ』よりも大衆的な作品が出ない限り、投資状況は大きく変化しないだろう」と話した。制作会社の関係者は「キム監督自ら、大企業系列の投資・配給会社に依存せず映画を作るタイプだ」と指摘した。

 さらに、キム監督の作品の「興行」面はどうだろう。キム監督は『悪い男』(2002)で観客約70万人を集めたが、ほかの作品では平均1万人前後。『ピエタ』は「ベネチアの恩恵」を受けている。受賞のニュースが報じられた9日には2万8975人が観覧し、前日に比べ1万人以上増加した。3%台に留まっていた前売りシェアも、10日は12%台にまで上昇した。しかし「これは一時的な効果の可能性もあり、次の作品がどれほど親しみやすいかが、その後の興行を決定するポイントとなるだろう」という意見が多い。これと関連して、キム監督は最近ベネチアで行ったAFP通信とのインタビューで「二つの作品を準備している。『お金のために傷つけ合う人たちの話』と『スポーツスター、有名人など華やかな人たちが一般人にどのように見られているかを扱った作品』だ」と話した。

 「アウトサイダー」を自負し、大衆と距離を置いてきたキム監督のやり方に変化が訪れるかどうかも、関心を集めている。キム監督はこの数年間、山の中に小屋を建てて一人で過ごし、メディアとの接触も避けてきた。しかし『ピエタ』の封切りを前に、芸能番組に出演し、足に刻まれた魚の入れ墨で笑いを誘うなど、大衆に歩み寄る姿勢を見せて話題となった。キム監督の日常を撮影したドキュメンタリーの制作にも参加し、12日に放送が決まっている。ベネチアでの受賞が、自らを「劣等感の怪物」と称していたキム監督自身にある種の「治癒効果」をもたらしたのかどうかは、キム監督の今後の活動を見れば分かるだろう。

李永民(イ・ヨンミン)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース