韓国の学校ではいじめ問題が深刻な社会問題としてクローズアップされているが、芸能界ではアイドルグループのメンバー間でいじめがあるといううわさが広がっている。そして30日にはいじめ被害者とされていたメンバーの電撃脱退が発表され、これに対する批判がインターネット上で展開・拡散されるなど、波紋が広がっている。
今回の騒動の当事者は、「Roly-Poly」などのヒット曲で海外でも人気の7人組ガールズグループT-ARAだ。事の発端は先週、日本武道館で行われた単独コンサート「T-ARA JAPAN TOUR 2012 ~Jewelry box~」でラップ担当のファヨン(19)が足を痛めたことを理由にパフォーマンスをしなかったことから、ほかのメンバーたちがツイッターに「意志(=やる気)が人を作ることもできるはずなのに」(ウンジョン)、「意志の違い。演技の天才に拍手を送ります」(ジヨン)とツイート(書き込み)したこと。ファヨンはこれに対し「時には意志だけでは無理な時がある」と返した。
一部ネットユーザーはこうした書き込みをまとめて拡散、「けがでステージが務められなかったファヨンはほかのメンバーたちからいじめられている」と「ファヨンいじめ説」を主張した。ネット上にはファヨンがほかのメンバーたちと離れて立っている映像のスクリーンショットや、日本の番組であるメンバーがファヨンに無理やりもちを食べさせているように見える写真、韓国の番組でファヨンがほかのメンバーから非難されているように見える写真などが「いじめの証拠」として次々と掲載された。このため、ウンジョン(23)が出演しているMBC『私たち結婚しました』や、出演予定のSBSドラマ『5本の指』の公式掲示板には「ウンジョンの出演に反対します」「ウンジョンが出るならドラマは見ません」といった文が30日現在で1000件以上書き込まれるなど、ネットを中心にT-ARA批判論が広がっている。
これについて所属事務所コア・コンテンツ・メディアのキム・グァンス代表は30日午後、プレスリリースで「ファヨンとの契約を解除する」と電撃発表した。そして「(ファヨンのためにチームワークが乱れるという)スタッフの意見を尊重して下した結論であって、メンバーの間での不仲やいじめはなかった」と説明した。ファヨンはいじめの被害者ではなく、逆にメンバーの和を乱す原因を作ったという。だが、その一方で「デビュー当初、一部メンバーのいじめ説に悩まされたが、若いメンバーたちの嫉妬がもたらしたものだった」などとしてメンバー間に確執があったことは認めた。所属事務所も追加プレスリリースで「ファヨンは27日に生放送の音楽番組に出演することになっていたが、放送直前に突然『出られない』と言いだした。帰る時には松葉づえを投げるなど衝動的な行動も取った」とファヨンに責任があるとしている。ファヨンはこれに対し、ツイッターに「真実のない事実ばかり」と書き込み、双方は感情面でのこじれを見せている。
ファヨン脱退が報じられると、あるポータルサイトに作られた会員制掲示板「ティジンヨ(T-ARAに真実を要求します、という意味の韓国語の略)」加入者数は8万人を超え(30日午後8時30分現在)、ネット討論掲示板「ダウム・アゴラ」の「T-ARA解散要求」には約4万8000人が署名している。また、同日にはT-ARAのいじめ説に関する話題は各ポータルサイトの検索ワード1位になるなど、波紋が広がっている。