インタビュー直後に会ったイ・ヒョンスン監督は、記者に「『青い塩』はソン・ガンホという俳優ありきで作った映画」と語った。一緒に映画を撮ると決めた後、ソン・ガンホを中心にして構図や脚本を作ったということだ。そして「何か異質な存在が近づき合う過程を描きたかった。ソン・ガンホの反対側には年齢差が大きい若い女優を置き、『料理』のようにごちゃ混ぜのイメージがほしかった」とも言った。
-映画では料理のシーンが多かった。実生活では料理をする?
「あまりしません。キムチチゲが好きなので、煮干しのだしを取って作ることはできます。肉はあまり好きじゃなくて…。菜食主義ではないけれども、肉のスープは嫌いですね」
-相手役を務めた新世代女優シン・セギョンはどうだった?
「社交辞令ではなく、本当にすごい。彼女がインタビューで『ソン・ガンホ先輩のおかげ』と言っていましたが、僕は何もしていません。俳優は孤独な職業です。カメラの前に立てば誰も助けてくれない。スタッフもただ見守るだけ。セギョンさんの年齢のとき、僕は軍隊にいました。除隊してすぐに劇団に入り、演技を基礎から始めました。10年後が楽しみな、潜在力をたくさん秘めた女優さんですね」
-映画デビューから15年。後輩俳優たちが「尊敬する俳優」としてよく名前を挙げるが。
「僕のことをよく知っている俳優はそんなことは言いません(笑)。プレッシャーですね。後輩たちが一生懸命見ているはずだから、これからもっと頑張らなければと思います。健全なプレッシャーです。一種の『緊張の糸』はある方がいいですから」
-ハリウッドなど海外進出する気持ちは?
「時々連絡がありますが、まず自分の実力もないし、考えたこともありません。海外でも僕のことを知っている人はいますが、僕がハリウッド映画に出たから知っているのではありません。僕が出た韓国映画が外国で上映されているから知ってもらえたのでしょう。僕はこういうグローバル化の方がいいと思います。素晴らしい韓国映画を作り、商業的にも売れて、文化的にも広がれば…」
-『青い塩』は海外ではどう見られるだろうか。
「イ・ヒョンスン監督の映画『イルマーレ』はハリウッドでリメークされたので、『青い塩』も海外では好まれるでしょう。『韓国にはハンサムな俳優が多いのに、なぜソン・ガンホをラブストーリーに出したの?』という人がいるかもしれませんが(笑)」
-最も脚光を浴びている俳優として、韓国映画に対する責任感を感じる?
「そんなことは一介の俳優がする話ではありません。それよりも舞台も合わせればもう23年目だから僕が自分で責任を取るときだという思いはあります。20‐30代のころは『経験がなくて』『もう少し年を取ったら』と言い訳もできますが、今はもう言い訳できなくなりました」
-これからどんな映画を撮りたい?
「イ・ナヨンさんとの映画『ハウリング』の撮影が終わり、来年3月ごろには『雪国列車』がクランクインします。一番好きなのは『シークレット・サンシャイン』のような映画。
人間の実体を探求する映画というか、50‐60代になればそういう映画でもっと濃い『だし』が出せるのでは、と思っています」