-コン・ユさんといえば『コーヒープリンス1号店』の話は外せない。
「あのころは自分のことをアイドルだと思っていました。僕の移動車を追っかけ回すファンの車が2、3台はいましたから。ところが、それはドラマの『七光り』『バブル』でした。大衆という大きな流れに何も考えずに引きずり回され、消耗しないようにしなければならないのに…。それが嫌でも、新作が出るまではレッテルを張られたままにするしかありません」
-デビュー10年目、30代だ。変化が必要な時期では?
「今後は独立系映画や低予算映画にも出演しようと思います。今年見た映画ではミン・ヨングン監督の『ヘファ、ドン』がとても良かったですね。記事に『ミン・ヨングン監督の次回作にぜひ出演したいと言っていた』という文も入れてくれませんか。今までは少し軽めの作品が多かったと思います。言い訳のようですが、俳優がデビューしてすぐに『僕が出たいのは独立系映画だけです』と言ったら、どこのマネージャーも嫌がるのでは」
-この10年間で何が変わった?
「デビューのころは演技に対する欲があまりありませんでした。『悪くさえ言われなければいい』という考えで20代半ばまで走ってきました。20代後半から周りが『この作品はカネになる』『カネにならない』ということばかり言い、それが嫌でした。『俳優の道をずっと歩むべきか』という大きな悩みも抱え始め、ひどく神経過敏になったり、人につらく当たったりもしました。兵役中の2年間で考えを整理するうちにかなり変わり、余裕ができたのだと思います」
-その余裕は今後の演技にどう影響すると思う?
「以前は『僕がこの役をこなせるだろうか』という基準で作品を選んでいました。今はいい作品、僕の足りない部分を埋めてくれる作品を選ぼうと思っています。木を見るのではなく、森を見るようになりました」
-どんな俳優になりたい?
「映画『グラン・トリノ』のクリント・イーストウッドを見ると、目元のシワ、声の震えに演技や人生がすべて溶け込んでいるように感じました。
今後はどんな役やジャンルの作品でも、俳優としてあのように年を取りたいですね」