韓国ドラマ、最近の傾向はファンタジーより現実性(下)

 『パスタ』(MBC)も同じだ。

 同ドラマは料理を素材に、最高のイタリアンレストランの料理人を夢見る人々の物語を描く作品。「人々が夢見る料理」を作るためのプロ精神を強調すると同時に、どこの職場でも一度はぶつかりそうな、さまざまな人間群像を描いている。

 原則主義者の料理人チェ・ヒョヌク(イ・ソンギュ)と、純粋な気持ちで努力する新人料理人ソ・ユギョン(コン・ヒョジン)、さらに、自分の職場を守るため、派閥に分かれるほかの料理人たち、その渦中に裏金を受け取るソル社長(イ・ソンミン)の姿は、現実社会の姿と非常によく似ている。

 個性あふれるキャラクターや「面白さ」というスパイスを加えているが、物語の設定は極めて現実的といえる。

 「88万ウォン〈約6万8700円〉世代(非正規職を転々とし、1カ月の平均所得が約88万ウォンの20代)」の辛さを扱った『明日に向かってハイキック』(MBC)も同様。

 この作品でスターダムにのし上がったファン・ジョンウムの人気の裏には、冷たい現実を鋭く盛り込んだ設定が目につく。ソウル大生ではなく、名前が似ている地方大・ソウン大生として、人知れずつらさを味わうジョンウム。面接に次々と落ちた後、マルチ商法を勧める企業に就職し、書籍300冊を売る使命を課せられる。

 しかし、恋人ジフン(チェ・ダニエル)の突き刺さるような一言に、「わたしの履歴書で行けるところはここしかない」と泣き崩れるシーンは、大学入学直後から就職戦争に突入しなければならない20代のほろ苦い自画像を描いている。

 このような最近のドラマの傾向について、MBCドラマ局の中堅監督は、「ドラマのトレンドは常に変化しているが、ここ2-3年は特に、現実的な共感を土台にした作品が手堅い人気を得ている。視聴者たちは、食傷気味のシンデレラストーリーよりも、ささいな日常や職業に対する悲喜こもごもなどを描いたドラマを好んでいるようだ」と語った。

チャン・ソユン記者
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