インタビュー:ブランクを乗り越えたコ・ヒョンジョン(上)


 映画雑誌「シネ21」が創刊14周年を迎え、「俳優、情熱に会う」というタイトルの下、最高の映画俳優たちのインタビューを行った。コ・ヒョンジョン、キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、オム・ジョンファ。4人はこの席で、俳優としての演技哲学から自然人としての細々した日常まで打ち明けた。そのトップバッターはコ・ヒョンジョン。色白の顔で人生の影のようなものは見たこともないかのように明るく笑うが、感情を隠さない気取らぬ言葉からは、つらい時間を経た後の余裕や悟りが感じられる。これまで知らなかったコ・ヒョンジョンに会った瞬間だ。

 ドラマ『善徳女王』の撮影のため、智異山や慶州を行き来する中で時間を作ったというコ・ヒョンジョン。その美ぼうは本当に歳月をあざわらうようだ。結婚前、コ・ヒョンジョンは元ミスコリアらしい抜群の容姿はもちろん、演技力まで卓越しており、作品を選ぶ眼力も高い「優れた女優」だった。『黎明の瞳』『恐れない愛』『女の部屋』『母の海』『別れ』など、出演するドラマごとに高視聴率を記録し、コ・ヒョンジョンは主にヒロインを演じた。コ・ヒョンジョンがチェ・ミンス、パク・サンウォンとともに主演したドラマ『砂時計』は今でも秀作として語り継がれている。14年前、24歳の若い女優コ・ヒョンジョンはこれ以上、登りつめる場所がないように見えた。ドラマが終了してから数カ月後、コ・ヒョンジョンは財閥の後継者と結婚し、蒸発したかのように消えた。そうして10年がたった。

◆正直なコ・ヒョンジョン

 世間を驚かせた結婚だっただけに、コ・ヒョンジョン離婚のニュースが届くと、全国民が注目した。あらゆるうわさが飛び交った。しかしそんなことはおかまいなく2005年、コ・ヒョンジョンはドラマ『春の日』で華麗に復帰した。ホン・サンス監督の映画『海辺の女』にも出演した。その後もドラマ『キツネちゃん、何しているの?』『H.I.T』などに出演、今年5月中旬に公開されたホン・サンス監督の『よく知りもしないのに』には初めからノーギャラで出演し、監督への支持と信頼を示した。

 「ギャラをもらわなければならなかったのに…、ちょっと済州島に来いって言われて(笑)」

 小さな役だと思っていたようだが、コ・ヒョンジョンは1、2部に分かれる映画の2部にヒロインとして登場する。このように、コ・ヒョンジョンはずっと比重のある役を演じてきた。ドラマ『善徳女王』にキャスティングされたと報じられた時も、誰もがコ・ヒョンジョンが善徳女王を演じるのだろうと予想した。しかし、コ・ヒョンジョンはミシル役を演じている。

 「いつも不義と戦う正義感のある役をしていたため、それに慣れたようです。大のため小を犠牲にするような人物でした。ミシルは欲しいものを手に入れるために集中し、表現が赤裸々です。正直な役どころです。これまでは相手役(復帰後チョ・インソン、チョン・ジョンミョン、ハ・ジョンウらと共演)に恵まれましたが、今回は難関にぶつかりました。大先輩のイ・スンジェさん、ドッコ・ヨンジェさん、チョン・ノミンさんと共演することになったのですから(笑)」

 役の変化は俳優個人の変化を反映したものかもしれない。作品以外の番組にはまったく顔を出さなかったコ・ヒョンジョンだが、最近ある芸能番組に出演。正直に語り、トーク中に気兼ねなく鼻をかんだ。各雑誌とのインタビューでは、元夫や子どもたちへの思いも打ち明けた。今回の企画でも同じだった。

 「幼いころ、わたしは両親を200%満足させようと思っていました。高校生の時まで、失敗らしい失敗をしたことがありません。失敗は誰でも1度はするようです。それなら幼い時にするほうがましだと思います。30歳過ぎてからだと、事が大きくなります。離婚みたいに(笑)。わたしの失敗は誰にも甘えることができないものでした。インタビューを受けると、このようにまた失敗することもあります。

わたしがミスをしないか、マネージャーが不安がってるのを見てくださいよ(笑)」

チャン・ソヨン記者
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