故チェ・ジンシルさんの足跡をたどる旅(下)

◆ジョンインとファンユの愛が始まった京江駅


 京江駅は京畿道と江原道の境界を過ぎ、春川方面に向かって「京江駅」と書かれた案内板に従って進めば無事到着できるでしょう。京江橋という橋を通り過ぎるとすぐです。京畿道を越え、江原道の入り口にあるということで「京江駅」という名が付けられました。とても小さいのでそのまま通り過ぎてしまう人がいるかもしれません。この地では珍しい赤レンガの駅舎が特徴です。駅舎の建物を見た瞬間、わたしはすぐにチェ・ジンシルさんが思い浮かびました。

◆京江駅に飾ってあるチェ・ジンシルさんの手形


 小さな待合室に入ったら、切符売り場の右側に飾ってある手形の複写を見てください。そこにチェ・ジンシルさんがいます。どこで取った手形かは分かりませんが、細い指の手形が壁に飾られています。きっと映画を撮影する前に取った手形でしょう。わたしはこれからチェ・ジンシルさんに会いたくなったときには、この小さな駅に着て、彼女の手形を見ながら思い出に浸ることにします。

◆チェ・ジンシルさんの面影が残る京江駅


 ちょうどソウル行きの列車がプラットホームに入ってきました。映画のワンシーンのように、列車に向かって駆け出す姿、急いで列車に乗り込む姿が見えたような気がしました。また彼女に会いたくなってきました。

◆チェ・ジンシルさんの魂よ安らかに…ファンユの木


 京江駅に別れを告げ、ソウルに向かいました。若者たちが集まる大城里を過ぎ、縣里三つまたロータリーで右折します。11キロ進むと「朝の静かな樹木園」に到着します。映画『手紙』でファンユと愛を語り合い、結婚式を挙げ、最後の別れをした場所です。この樹木園にいるだけで、朝早くソウルを出発したわたしの疲れた体が癒されるような気がしました。

 今、この樹木園にはたくさんの花が咲き乱れています。ありとあらゆる色の花々があちこちで美しく咲いています。中でも特に目立っているのは「朝の広場」にあるファンユの木。映画に出てきたファンユの木はなくなり、そこにがっしりして形のよい松が1本立っています。木の前に設置された立て札には「ファンユの木があった場所」と書かれています。

 ファンユの木を囲む広い芝生で二人は結婚式を挙げました。その下の花畑の道で自転車に乗って遊んだり、芝生で1日中語り合ったりしながら過ごしました。見えますか。あの木の下で輝いていた愛と幸せが。

◆映画『手紙』のファンユの木があった場所には立派な松が


 青天の霹靂(へきれき)のようなファンユの発病。ファンユは永遠にジョンインのそばを離れていってしまいます。一人残されたジョンインは何度もファンユの木の下に行き、思い出をなぞります。映画の最後のシーンはこうでした。ジョンインが身ごもったファンユの子とファンユの木の下で幸せそうに語り合っている…。

 天国に行ったチェ・ジンシルさんも安らかに眠ってほしいです。悲しい恋を描いた映画がこの樹木園で誕生したけれど、今この樹木園は静かな幸せに満ちています。これを読んだ皆さん、チェ・ジンシルさんを懐かしむ皆さんが幸せでありますように。

 美しい秋の日、故チェ・ジンシルさんを思いながら旅した記者パク・ジョンインより。

パク・ジョンイン記者
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