今年の青龍映画賞では、いったい誰が主演男優賞にノミネートされたのだろうか。2006年は、彼らが数千万人もの観客を笑わせ、涙を誘った。王と真っ向から対決した大道芸人のカム・ウソン、絶妙のコンビネーションを見せたパク・ジュンフンとアン・ソンギ、家族を守るため怪物と死闘を繰り広げたソン・ガンホ、原作のキャラクターそのままに生き生きとした演技を見せつけたチョ・スンウ、スタイリッシュなやくざを見事に演じたチョ・インソン。今年は例年よりも作品が多かったため、主演男優賞の候補も1人多い6人が選ばれた。
カム・ウソンは映画『王の男』で、これまで演じたキャラクターとは違い、ワイルドで素朴なイメージを見せた。絶対的な権力を持つ燕山君に大胆に近づく大道芸人「チャンセン」を通じ、歴史のアイロニーと現実の悲哀を風刺した。彼が一本の綱の上で自身の限界を少しづつ越えるたびに、観客は胸の内がすっきりと晴れる感覚を覚えたはずだ。彼は、今後の成長が期待できる俳優だ。
パク・ジュンフンは、これまで幾度となく青龍映画賞の舞台に上がったことがある。助演男優賞や人気スター賞などを受賞したほか、昨年はゲスト司会者として登場し、巧みな話術で観客を引き付けた。今回彼は、主演男優賞候補として授賞式に望む。パク・ジュンフンは、『ラジオスター』で落ち目のロックスターを演じ、観客の共感を誘った。
ソン・ガンホは、過去最高のヒット作となった『グエムル-漢江の怪物-』で大役を演じ、娘を失った父親の悲痛な心情を見事に表現した。彼は、どこか間が抜けて見えるキャラクターで、より深い情感を与えるのに成功した。「NO!ウイルス」というセリフやネットリとした貝を食べるシーンなどでは、緊張感と同時にユーモアを感じさせた。ソン・ガンホは、来年春までのスケジュールがぎっしり詰まっている売れっ子俳優だ。今、韓国映画界が最も注目する俳優の1人といえよう。
アン・ソンギは、誰もが認める国民的俳優だ。1957年に子役でデビューし、来年にはデビュー50周年を迎える大ベテラン。これまで出演した映画だけでも70本近くに及ぶ。アン・ソンギは主演、助演を問わず、自身が演じる役柄で最高の魅力を見せることに専念する。パク・ジュンフンと共に『ラジオスター』に出演し、今回主演男優賞候補に選ばれた。身を挺してスターを守る不屈のマネージャー役は、アン・ソンギなくしては実現できなかったキャラクターだ。
チョ・スンウは『いかさま師』で主人公を演じ、昨年に続き2年連続で主演男優賞の候補に選ばれた。彼の演技は、原作漫画から主人公がそのまま飛び出したかのように、躍動感あふれたものだった。映画では、花札を触る指先の微妙な演技、相手を見透かすような鋭い眼差し、力が抜けたような淡白なセリフなど、チョ・スンウの底力が十分に発揮された。そしてその力は、スクリーンとミュージカルの両方で精力的な活動を続ける彼の情熱から作り出されたものだ。
チョ・インソンは、やくざ映画『卑劣な通り』で主人公を演じ、初めて主演男優賞にノミネートされた。 青龍映画賞ならではの公正さと異例さ、新鮮さと若々しさが感じられる選出だ。チョ・インソンはこの映画で、あどけないイメージから見事に脱皮することに成功したほか、リアルなアクションと細やかな感情表現で観客の心を鷲づかみにした。