パク・シニャン主演『ビッグ・スウィンドル!』 3日、日本で公開


 忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)に観客を虜にする詐欺師映画がついに登場した。

 3日から日本に公開予定の詐欺師を素材にした娯楽映画『ビッグ・スウィンドル!』(原題:『犯罪の再構成』)は、映画と詐欺劇が必要とすべき美徳をよく兼ね備えている。「詐欺はテクニックではなく心理戦」という映画の中の詐欺師たちの言葉を借りれば、「娯楽映画も結局はテクニックではなく心理戦」である。

 そして「観客が何を求めているのか、何を嫌がるのか」ということが分かればゲームオーバーなのである。

 犯罪映画の楽しさは一見すると活劇にあるようだが、実は観客はたびたび犯人と自分を重ね合わせて退屈な日常から解放される危険な逸脱を楽しむ。そのカタルシスで観客を映画に引き込むことができるか否かは、映画の中の嘘がどの程度によるかに懸かっている。  


 『ビッグ・スウィンドル!』は『スティング』や『オーシャンズ11』を連想させるが、外国映画とは色彩が異なる韓国的リアリティーで観客を詐欺劇に引き込む。

 「詐欺団が韓国銀行に詐欺を仕掛けて50億ウォンを盗み出す」といった内容は驚くべきことではない。不可能と思える犯罪に挑む詐欺の達人たちの絶妙なアイディアと緻密な頭脳ゲーム、そして誰が主役ということもなく各自の役を見事に演じ切った5人の俳優たちのずば抜けた演技アンサンブルが驚きに値する。

 映画はスタートと同時に詐欺劇の結果を見せて始める。前科持ちの詐欺師のチェ・チャンヒョク(朴新陽(パク・シニャン)扮す)、詐欺師のゴッドファーザー「キム先生」(ペク・ユンシク扮す)、大嘘つきのオルメ(イ・ムンシク)、女性ばかりを専門に狙うナンパ詐欺師のジェビ(パク・ウォンサン)、偽造技術者のガソリン(キム・サンホ)5人は、50億ウォンを盗み出すことに成功するが、銀行を脱出する直前にかかってきた電話のために警察に包囲される。

 結局、主犯のチェ・チャンヒョクが車と共に燃えた姿で発見され、オルメは捕まってチャ班長(千虎珍(チョン・ホジン)扮す)から取調べを受け、ガソリンまでも捕まってしまう。だがキム先生とカネの行方だけが分からない。


 映画は時間をさかのぼってこの尋常でない詐欺劇の全過程と捜査を交差させて見せる。パズルのように完成されていくこの巨大な絵は、一つの目標に命を賭ける各々の人生の貪欲さと知能、一団の中でも騙し裏切り、陰謀を企てて観客を緊張感と楽しさで興奮させる。巧妙な犯罪は日常では嫌悪の対象だが、スクリーンではたびたび熱狂と爆笑の対象になる。

 チェ・ドンフン監督はこのデビュー作でずば抜けた構成で上映時間の最後まで飽きさせず、疑惑と緊張、笑いを誘発させる。ここにキム先生の同棲相手の女“九老(クロ)洞のショロン・ストーン”ことソ・インギョン(廉晶雅(ヨム・ジョンア)扮す)などのキャラクターが加わるなど、このジャンルの映画に必要とされるサイドディッシュも充実している。

 『ビッグ・スウィンドル!』にはハリウッドの犯罪アクションが到底描くことができない楽しさがプラスされている。それは韓国語特有のニュアンスを活かしたシナリオと完璧な才能で犯罪者たちの専門用語を流暢に演じ切った俳優たちの演技力にある。


 乱暴で無知な男と物静かな優等生のイメージを同時に演じた朴新陽と魅力的な悪女を演じた廉晶雅の存在も大きいが、その中でも一際目立って重厚な光を放っているのがペク・ユンシクだ。

 「シチュエーションがいい」「お前は考えるな、考えるのは俺だ」といった味のある台詞を冷たい無表情の顔をしながらどっしりとした声で話すペク・ユンシクの白々しい演技には、不思議なカリスマと顔をほころばせるような魅力が同時に漂っている。

 『ビッグ・スウィンドル!』は基本的に何も考えずに観ることのできる映画だが、出演俳優たちの好演には、騙し騙されるこの世の中の風景が絶妙に写し出されている。

12月3日封切り
渋谷: シネ・アミューズ イースト/ウエスト
新宿: 新宿武蔵野館 他

※この記事は2004年4月11日に朝鮮日報日本語版に掲載された記事を、日本公開にあわせ再編集後再掲載したものです。

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