「間違った親の教育が利己的な子を作り上げる」

 里親運動で有名な朴ヨンスク(47/韓国里親協会会長)さんが語る、良い子育て方法は何だろうか。

 「勝てる子に育てるためには、まず負けることを知る子に育てなければなりません。この先、私たちが迎える世の中は、自分のことしか考えない王子様やお姫様は必要でないのです。『うちの子供は勉強で忙しく、自分の靴下も洗ったことがない』というのは、『私の子供は社会生活の不適格者だ』という言葉の同義語です」

 思春期を迎えた息子(15)を持つ彼女は、実は数十人の子供を育ててきた。経済的に苦しい家庭や問題を抱える子供を臨時的に預かる里親(Foster Home)運動を展開しながら得た考えが、「みんなが幸せになる子育て」だ。

 子育てにおいて最も中心となる考えをそのように決めたのには、理由があった。夫のエリック・ハムソンさんとの間で生まれた一人息子が、わがままで利己的な“家庭の中の王子様”になっていることを知って、びっくりしたのである。しかも、外では人見知りで、自分の意思表明さえもできなかった。

 「子供が5歳の時でしょうか、米国の義父母のところに行って初めて気付いたのだから、私も鈍いですね。玩具を買ってくれないと、だだをこねて大泣きをする息子を見て、義父母が驚いて病院に連れて行ってみろと仰ったんです」初めはその言葉が淋しく思えたが、それだけ問題のある行動だということを悟った。

 息子は8歳ごろ、母についてボランティアをはじめてから少しずつ改善された。里子たちが家にくるようになてからは、全く違う子に変わった。初めは競争心からけんかなどもしたが、段々、互いに気を配り始めた。仕事に出る両親の代わりに、子供たちを風呂に入れ、食事や宿題の面倒を見るようになった。過去7年間、息子が“育てた”弟や妹だけで13人に上る。最近は毎週土曜に開かれる里親の集いの週末教室で、堂々たる“助手”として大活躍している。

 朴さんは、子供を「思いやりのある子」に育てるためには、何よりも母親の役割が大きいと強調する。「お母さんが子供の要求することを全部聞いてあげると、子供の手足や思考力、決定力を退化させてしまいます」朴さんは母親に「自分だけの仕事」を持つように勧める。

 いきなり就職をしろと言っているのではない。「ボランティアでもよし、花壇作りの専門家でもよし。主婦でありながらもできる専門領域は多いのです」そのためには、母親は心を鬼にしなければならないという。「叱る時は、本当に厳しく叱り、誉める時は『すばらしい人になれるよ』という表現ではなく、『あなたが周りの人々のためになることをしたわね』と具体的に話してあげてください」

 最近、このような自分の考えをまとめた本を出版した。『勝てる子に育てたいなら、まず負ける方法を教えろ』(中央M&B)。「負けるということは私ではなく、他人を思いやるということ。自分の欲のため拳を握り締めるのではなく、他人を思いやる習慣を幼いごろから育てようということです」

 負ける方法、共に生きていく方法を心得ることこそ、未来の地球村で勝ち残る真のサバイバル戦略になると確信する朴ヨンスクさんは、一つ、素朴なアイデアを教えてくれた。1日のうち、他人にどれだけ配慮したのか、「譲歩日記」を書くことだ。「性格が形成される重要な時期である4~8歳の時の『優しい心』を記録した日記を、大人になった子女にプレゼントするもの面白いじゃないですか」と、朴さんは親指を立てて見せた。

金ユンドク記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース