「悪女」ヨン・ミンジョンでも、「強いお姉さん」ピョン・ヘヨンでもなかった。女優イ・ユリ(37)はお転婆だった。視聴率28%(ニールセン・コリア調べ)を突破したKBS第2テレビの週末ドラマ『お父さんが変』で、イ・ユリは家族や恋人に向けてはばかることなく毒舌を振りまくけれど心は温かい弁護士ピョン・ヘヨンを演じた。いわゆる「ガールクラッシュ」の代名詞として通じ、女性視聴者に高い人気がある。4月19日午..
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「悪女」ヨン・ミンジョンでも、「強いお姉さん」ピョン・ヘヨンでもなかった。女優イ・ユリ(37)はお転婆だった。視聴率28%(ニールセン・コリア調べ)を突破したKBS第2テレビの週末ドラマ『お父さんが変』で、イ・ユリは家族や恋人に向けてはばかることなく毒舌を振りまくけれど心は温かい弁護士ピョン・ヘヨンを演じた。いわゆる「ガールクラッシュ」の代名詞として通じ、女性視聴者に高い人気がある。4月19日午後にソウル・駅三洞で会ったイ・ユリは、「悪辣」や「冷静」とは隔たりがあった。「演じた役と実際の性格に、似ている部分はありません。優雅だといわれるのも恥ずかしいですね。楽屋で勝手に踊って遊んでるんです。『幼稚だな』くらいでちょうどいいんです」。
2001年にKBS第1の『学校IV』でデビューして以来、空白期がない。これまでドラマ・映画26本とミュージカル1本に出演した。「作品が一つ終わると、次に出会うキャラクターがすごく気になってしまって、演技を休めない」と語るイ・ユリ。「一番長い休みは6カ月ですね。3ヶ月休むだけでも、カンが鈍ります。明るい役をやってみたくて、昨年は『おお!キャロル』というミュージカルにチャレンジしました」。
出演作は多いが、演じた役は似ている。『拝啓、ご両親様』、『黄色いハンカチ』、『愛と野望』など、この上なく純粋な妻や善良な嫁の役を9年にわたり引き受けてきた。「演技者として限界が来た」という評を聞いたのもこのころだ。敬虔なクリスチャンでもあるイ・ユリは、2010年に12歳年上の教会の牧師と結婚し、「善良」なイメージをさらに増した。
皮肉にも、演技人生のターニングポイントは悪役を演じたことで訪れた。11年にMBCの『きらきら光る』に出演、幼いころに狂った運命に絶望している悪女「ファン・グムラン」の役で印象深い演技を披露した。翌年にはtvNの『福寿草』で、復讐を遂げるシングルマザーを演じ、ケーブルテレビのドラマ初の延長放送まで実現するほどのヒットを飛ばした。14年の『私はチャン・ボリ!』では稀代の悪女ヨン・ミンジョンを演じ、初の演技大賞に輝いた。視聴者投票で選ばれた大賞ということで、さらに意義深い受賞だった。
「本物の悪人は、他人に悪行を見せません。悪人だとばれたら、逆説的なことに、そのときからきれいになるじゃないですか。視聴者は悪人だと知っているけれど番組では徹底して隠す。むなしく悪事ばかりやるというのも禁物です。飽きない悪役、最後の結末が待ち遠しい悪役が、本当の悪役だと思います」
ピョン・ヘヨン役は、明るい悪役を演じたくて選んだという。イ・ユリは、少し照れながら「ピョン・ヘヨンという名前の通り、このキャラを一言で説明すると『時々刻々、弁解用(ピョンヘヨン)!』になりますね」と笑った。「愛情あふれているのに、家族の前では頼もしそうに振る舞うことができず、愛を前にして頭を下げたいのに、どうせならかっこよく下げようとするかわいいキャラです。自分ではすごく利口だと思っていますが、他人から見ると見かけ倒しです。『強いお姉さん』という印象がありますが、そのギャップが、このキャラをかわいいものにしてくれました」。
ぜひやってみたい役は、朝鮮王朝時代の大悪女と呼ばれる「禧嬪張氏」(張禧嬪)だ。「『悪役の代名詞』というタイトルは本当にいい気分です。現代ドラマだけでなく時代劇や歴史ドラマの悪役にも挑戦してみたいですね。朝鮮王朝時代に行ったヨン・ミンジョン、イ・ユリの張禧嬪にも期待されませんか?」 その表情は、「あれも演技なんじゃないか」と思いそうなくらい、「ぞっとする」すがすがしさだった。
パク・サンヒョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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