先月から、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にあらゆる種類の“ファン・ジョンミン”が出現し始めた。くるくるパーマのおばさんファン・ジョンミン、ショートヘアの女子学生ファン・ジョンミン、ハゲおじさんファン・ジョンミン…。『ヒマラヤ』のチラシのファン・ジョンミンの顔をお面のように活用し、まるで自分の顔のように写真を撮ってアップする、別名“ファン・ジョンミン遊び”だ。この遊びのポイントは..
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▲ファン・ジョンミンの顔が写された『ヒマラヤ』のチラシを自分の顔にはめて写真を撮る“ファン・ジョンミン遊び”が流行。/写真共有ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「インスタグラム」のキャプチャー
先月から、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にあらゆる種類の“ファン・ジョンミン”が出現し始めた。くるくるパーマのおばさんファン・ジョンミン、ショートヘアの女子学生ファン・ジョンミン、ハゲおじさんファン・ジョンミン…。『ヒマラヤ』のチラシのファン・ジョンミンの顔をお面のように活用し、まるで自分の顔のように写真を撮ってアップする、別名“ファン・ジョンミン遊び”だ。この遊びのポイントは、誰の顔にファン・ジョンミンの顔をはめ込んでも、全く違和感がないということ。このような顔を持つファン・ジョンミンが、この1年間、主演を務めた作品で動員した観客数は3000万人を超える。彼はこの時代の顔になった。
ファン・ジョンミンがこの5年間、主演した映画は9作。累計観客数は4736万人だ。年平均1.8作で、1作当たりの平均は526万人。ファン・ジョンミンはコンスタントに映画に出演し、観客は彼の出演作をこつこつと観たというわけだ。5年間の累計観客数のうち、3400万人以上は『国際市場で逢いましょう』『ベテラン』『ヒマラヤ』で動員された。
“ファン・ジョンミン遊び”が流行したのは、世間が自分の仮面としてファン・ジョンミンの顔を好んで受け入れたからだ。それぐらい抵抗がなく、気楽に感じる。『国際市場で逢いましょう』で、韓国現代史をそのまま経験した男性の典型としてファン・ジョンミンが選ばれたのも、そういう理由だ。『浮気な家族』で俗物的な弁護士、『フィスト・オブ・レジェンド』でわが子のため、再起しようとする家長を演じたときなど、彼は韓国のある集団や階層の姿を自由自在に演じきった。
『国際市場で逢いましょう』を演出し、『ヒマラヤ』を制作したユン・ジェギュン監督は「まずは誰もが兄、おじ、息子と思えるほど老若男女が親しみやすく、気兼ねなく受け入れられる。ファン・ジョンミンの顔には善悪が共存する。だから平凡にも見えるし、世間が彼の演技にも深く入り込める」と語った。
40代半ばから後半の主演クラスの俳優で、ラブストーリーが可能だということも彼の長所だ。ファン・ジョンミンはチョン・ドヨンと主演した『ユア・マイ・サンシャイン』で、集客力と演技力を認められたし、『ハピネス』『傷だらけのふたり』のようなラブストーリーにも出演した。ある映画制作会社の代表は「ラブストーリーが可能だということは、女性に対し、性的にアピールできるということ」と分析した。
ファン・ジョンミンはお人好しや、田舎くさい役を演じるとき、世間に大きな印象を残した。彼の主演デビュー作『ワイキキ・ブラザース』(2001年)では、好きな女性にまともに近づくこともできない奥手な男の役を演じ、一気に観客の目に留まった。全羅南道の方言を駆使した『新しき世界』(2012年)では、「来いよ、来いよ」や「ブラザー」のような流行語を作った。『ベテラン』の「俺たちお金はなくても、プライドはある」も彼が言うからこそ、2015年の名セリフとなった。ファン・ジョンミンは撮影現場でも余裕のある姿を見せ、スタッフとうまく馴染んでいる。肉体的に大変な撮影が多かった『ヒマラヤ』でも、「スタッフと一緒に荷物を背負って運んだ」という。しかし、演技スタイルはサバサバしている方ではない。監督らは「俳優の中で、一番ボロボロなのがファン・ジョンミンの台本。何をそんなに書いているのか、文字がびっしり書き込まれている。勉強や分析、計算をとてもよくするタイプ」と話す。
ファン・ジョンミンは慶尚南道馬山の出身で、ソウル芸術大学で演劇学を勉強した。彼と仕事をした人たちは、ファン・ジョンミンを「慶尚道の男の中の男」という。あるPR担当者は「感情表現も大きく、ストレートな方。でも、後腐れがない」と話した。妻からお小遣いをもらっているという彼は、出演料を受け取ると、3000万ウォンほどを別にしておく。俳優仲間やスタッフにご馳走するお金だ。『ヒマラヤ』の撮影でネパールに行ったとき、「スタッフが、制作費がもったいないとエコノミー席にしたのに、僕がビジネス席にするわけにはいかない」とエコノミークラスに乗った。
ピョン・ヒウォン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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