7月7日午後8時、新羅ホテル(ソウル市中区)の「ザ・ライブラリー」。席はあるかと尋ねると、従業員はそう答えた。リストに名前を書いて2時間待ち、席についた。マンゴーかき氷を食べるためだ。

 やわらかい牛乳氷に四角くカットされたアップルマンゴーがたっぷりのっている。マンゴーアイスクリーム、あずきソースが添えられている。価格は5万9000ウォン(約5280円)。

 ホテルかき氷バトルが熱い。新羅ホテルが先頭、その後を各ホテルが僅差で追いかけている。

 新羅ホテルがマンゴーかき氷を最初に出したのは2008年。済州新羅ホテルが済州市と食材協約を結び、どうすれば特産品であるアップルマンゴーをおいしく食べることができるか悩んだ末に開発されたメニューだ。2011年にソウル新羅ホテルにやって来た。そうしてマンゴーの切り方を半月型から四角形に変えた。

 最初に売り出されたときの価格は2万7000ウォン(約2420円)。食材の価格が商品の価格の70%を超える赤字商品だった。しかし、今ではホテルの売り上げの責任を負うほど大きな役割を果たしている。

 新羅ホテルをすぐ後から追いかけているのは、ウェスティン朝鮮ホテルのスイカかき氷だ。スイカの果汁を使った氷の上に丸くカットしたスイカ、スイカの種の形をしたチョコレートがのっている。甘くてさわやかなことから、酒を飲んだ翌日に食べるのにちょうどよく、「酔い覚ましかき氷」とも呼ばれている。価格は3万6000ウォン(約3220円)。ウエスティン朝鮮ホテルが2年間かけて開発した。

 最近では人気ベーカリーを訪ね歩いていた「パン地巡礼」のように、「ホテルかき氷巡礼団」が誕生した。ではなぜ、人々は列をつくってまでホテルの高価なかき氷を食べるのだろうか。

 まず、「私も食べた」というインサイダー心理や「私はこういうものを食べ歩いている」とアピールする心理。これは、写真共有ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「インスタグラム」ブームともからみ合っている。そのため、ホテルのかき氷は見た目が重要だ。ロッテホテルのメロンかき氷は、メロンの中身をくりぬき、その中に具材を入れている。一方、パークハイアットホテルの熟柿かき氷には金粉が振りかけられている。

 次に、自分だけの小さなぜいたく。ホテルの最高級サービスを楽しむのに、かき氷の価格は最も敷居が低い。席に座ってライブ公演を鑑賞することもできる。ホテル関係者は「かき氷のおかげで利用者の年齢層がだいぶ下がっている」とコメントした。
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イ・へウン記者

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