「売り上げのおよそ50%は中国人客によるものです。少し前にも20-30代の中国人女性2人が売り場にやって来るやいなや『ああ、これは中国では売っていないものだね』と言って新商品を一つずつ買っていきました」

 中国の女性たちがムダ毛処理を始めた。新世界免税店(ソウル市中区明洞)のレーザー脱毛器「tria」売り場で働くパク・チョンファさん(27)が教えてくれた。中国遼寧省出身のパクさんは「中国の女性たちはムダ毛処理をしていないと思われがちだが、それは昔の話。韓国で売れている脱毛器の半分は中国の女性たちが買っていると言われるほど」と語った。

 2007年にアン・リー監督が1938年のホン校を舞台に描いた映画『ラスト、コーション』では、女性主人公(タン・ウェイ)が腕を上げた際、わき毛が見えるシーンがある。このように、中国の女性たちは腕や足の毛をわざわざそったりしないと言われていた。しかし最近、美容業界の関係者たちは「20-30代の中国人女性たちの間で最近、脱毛が必須となっている。中国では脱毛グッズの売り上げ成長率が毎年40%を超えているほど」と語った。

 変化が見られるようになったのは2011年初めから。韓国のかみそりメーカー「DORCO」が2010年、ドイツと中国で初めて女性用脱毛器を発売したのだが、これが売り上げ65億8000万ウォン(現在のレートでおよそ6億5800万円、以下同)を記録。特に、夏に蒸し暑い中国・広州エリアで爆発的人気を集めるようになった。2013年に大韓貿易投資振興公社(KOTRA)広州貿易館が作成した報告書によると、当時中国の脱毛用品市場は売り上げ5億6000万元(約93億円)を超えた。

 中国の動画サイト「優酷(YOUKU)」が、20-30代の中国人女性たちの間で脱毛ブームを巻き起こしたと言われる。ネットインフルエンサー「網紅」たちが次々と家でワックス脱毛をしたり、レーザー脱毛によりスベスベの肌をアピールする動画を公開したためだ。関連動画だけで100件を超える。中国で最近人気を集めている韓流スター、カン・ソラらが脱毛器のイメージキャラクターとして登場したことで、脱毛ブームがよりいっそう高まったという声もある。中国と韓国を行き来しながら美容・エステティック事業を手掛けているヤン・ソンへさん(43)は「特に中国のオンラインショッピングモールなどで韓国製脱毛器がよく売れている。まだ中国市場で正式に流通していない脱毛クリームや脱毛テープ、家庭用脱毛器を韓国から直輸入している」と語った。

 中国・北京や上海などでは脱毛エステも人気だ。上海の食堂で働くレイさん(31)は「2カ月に1回の割合でエステに行って脱毛している。ただし、生まれてからこれまで脱毛をしたことのない母親には秘密」と話した。

 しかし、中国の一部女性運動家はこうした脱毛ブームに依然として疑問を呈している。2015年には肖美麗さんら女性運動家40人余りが中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に、わき毛を脱毛していない自分の写真を一斉に掲載するコンテストを実施し、話題を集めた。当時、肖美麗さんは「女性は脱毛してこそ美しく見えるという基準が果たして適切なのか、よく考えなければならない」と主張した。

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