これ以上、率直な表現があるだろうか。優雅さの象徴のような存在で、「ドレスエ」という別名もあるスエが、公約として「セクシーダンス」に言及し、映画の興行に期待をかけた。

 少し前、映画『国家代表!? 2』関係者が、映画をPRする席で「セクシーダンス」を興業公約に掲げた。ハ・ジェスクがパスを出し、オ・ヨンソがドリブルをして、雰囲気に呑まれたスエがついうっかり、セクシーダンスというシュートを放った。300万人突破でオ・ヨンソが、500万人突破でスエが、セクシーダンスを披露すると約束した。

「当時は(ハ)ジェスクさんがどういう話をするのか、分かりませんでした。うっかり答えてしまったので、セクシーダンスをしないといけないことになっちゃって。ことが大きくなったので、どうせなら500万人を超えてセクシーダンスをお見せできればいいと思います」

 ヒロインとしての責任感が、スエの言葉からは感じられた。しかし『国家代表!? 2』の競争相手は手ごわい。同作は『釜山行き』『仁川上陸作戦』『徳恵翁主』『トンネル』という、4大メジャー配給会社が送り出してきた大作に挟まれている。このうち『釜山行き』は、観客動員1000万人の作品となってレースから抜け出し、『仁川上陸作戦』『徳恵翁主』は接戦を繰り広げている。『トンネル』とは、公開日が同じ8月10日で重なっている。夏の対戦を避けることもできたのに正面から勝負したのは、『国家代表!? 2』の自信の現れ、と読める。

 この自信と同じくらいに、ヒロイン役のスエも映画には大いに満足していた。

「女優と一緒に仕事をするので楽でした。俳優として飾られた姿ではなく人間同士、虚心坦懐に接することができてよかったです。女同士でいると男性の話もして……ほかのどの作品よりも、待機時間が来るのを待ちわびていたと思います」

 スエは同作で、北朝鮮出身のアイスホッケー選手「リ・ジウォン」を演じた。フィンランドのアイスホッケー国家代表選手になることを夢見ていたが、デウン(オ・ダルス)の根気強い勧誘で、韓国のアイスホッケー国家代表チームに合流する-というキャラだ。新人のころからインラインスケートを楽しんでいたことが、今回の配役で非常に役立った。生まれついての運動神経も一助になった。撮影中、右足の小指の爪がはがれる怪我をしたこともあった。自分の不注意による怪我だったので気まずかったが、それだけ作品と配役への愛情が深いことも示していた。

「いろいろ経験してみたくて、特にスポーツ映画は、もっと年を取る前に是非一度やってみたいと思っていました。スポーツ映画でなければ、6人のキャラクターをそれぞれうまく生かして、ここまで調和させることはできなかったでしょう」

 スエは『国家代表!? 2』について、6人全員が主人公の映画だと強調した。この映画を通して、気を楽にする方法も学んだという。

「どんな瞬間にも、良い俳優でありたい。新人のころから今まで、輝く星のような先輩方と仕事をしながら、迷惑かけてはいけないという考えに追われるように演技をしてきました。『自分さえよければいい』という考えで、自分のことばかり一生懸命にやって、あるとき周りを見てみると、私にも後輩がいたんです。今では周りを見る余裕も、自信も、少しは生まれたと思います。それで『国家代表!? 2』は、私にとってさらに意味のある作品になりました」

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