▲舞台『リタ』のコン・ヒョジン=写真左=とカン・ヘジョン=同右=。/写真提供=公演制作会社スヒョンジェ・カンパニー

 舞台『リタ』(Educating Rita=リタと大学教授、ウィリー・ラッセル作、ファン・ジェホン演出)が熱い。先月3日、ソウル・大学路で開幕したこの舞台は、約40日後の今月14日、観客2万人を突破した。400席規模という小劇場だが、平均客席占有率97%を記録するほど観客が集まっている。ヒットをけん引しているのはヒロインのリタ役をダブルキャストで務めているトップ女優コン・ヒョジン(34)とカン・ヘジョン(33)だ。

 1980年に英国ロンドンで初演されたこの作品は、「教育」と「文学」が人をどのように変化させられるかをテーマにした2人芝居だ。20代の美容師で主婦のリタは遅まきながら生涯教育大学に入学、退屈な毎日を送っていたフランク教授と知り合ったのがきっかけで、お互いに影響を与え合い、本当の自分を見つけようとする。91年に『リタの手なずけ方』というタイトルで韓国で初演されて以来、チェ・ファジョン、チョン・ドヨン、イ・テランらがリタを演じた。今回の舞台は、タイトルから女性客に拒否感がを与える「手なずけ方」という言葉を外し、回り舞台の後ろに客席の一部を設置、より立体的に芝居を構成し直した。

 2人の出演公演をそれぞれ鑑賞した。今回が初の舞台出演となるコン・ヒョジンは、ハチャメチャながらも挑発的といういつものイメージを舞台で自然に生かしていた。まだ教育を受ける前のリタの初登場シーンで、ドアを開けにくそうにして「エイッ、××」と汚い言葉を吐き出すと、観客は悲鳴に近い声を上げて爆笑した。明るい表情で「頑張れば私も脳がかわいくなれるでしょ?」と尋ねるシーンでは、逆に世間を皮肉っているようにも見えた。

 舞台は4年ぶりというカン・ヘジョンは、甲高い声で「無知だが生き生きとしたリタ」というキャラクターを作り上げていた。明るく無邪気に「ただ、今の自分よりもっとマシな人になりたいってことなんです」と言う様子は、切実に勉強したいと訴える人そのものだった。「D・H・ローレンスは読んだことがある?」という教授の質問に目を丸くして「名前だけ知っているわ。教養がありそうでしょ?」と答えたときは無知だが、無邪気さが持つ美しさにあふれていた。

 舞台では、リタがシェイクスピア、E・M・フォースター、ウィリアム・ブレイクについて学び、教養を身に付けて急速に変化していく過程を見せるが、ストーリーが終わりに近づくほど、2人の口調や論理はますますハイグレードになる。最後のシーンで「本当に大切なのは、私が望むものは何なのか、それを知ることでしょう」と言ったとき、コン・ヒョジンは教養のある女性が駆使する淡々とした日常の言葉の力を、カン・ヘジョンは胸の中のトキメキや気付きの喜びを口にせずにはいられないという劇的な変化を見せた。全体的に見て、ナチュラルさではコン・ヒョジンの勝ち、舞台演技の面ではカン・ヘジョンの勝ちと言えるだろう。

 各シーンで変わる2人の衣装やヘアスタイルも楽しみの一つだが、衣装デザイナーのチョ・サンギョンは2人のリタにそれぞれ別の服を着せた。背が高く童顔のコン・ヒョジンには大柄プリントのワンピースやワイドパンツを、顔が小さく目鼻立ちがはっきりしたカン・ヘジョンには蛍光色のジャケットに白のロングブーツ、茶系のニットにサスペンダースカートを合わせ、個性を生かしている。

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