-これまでの出演作品で、好きなものを教えてください。

「必ず聞かれる質問ですね(笑)。これまでちょうど10本、作品を撮りました。10本の指のどれをかんで痛くない指はない、と言います。全部大切な作品です」

-そこをあえて、挙げてもらえませんか。思い入れのあるシーンのひとつでも。

「シーンはなおさら無理です。シーンは一つのものでなくつながっている、川の流れのようなもの。一部を切り取って考えることは難しいです。もし今、これと言えば、後で後悔します(笑)」

-これからの予定を教えてください。

「大ヒットした映画『イカサマ師』のドラマ版をまずやります。SBSの『食客』の後続ドラマで、たまたま同じホ・ヨンマンの作品なんです。その後、やはり映画のドラマ化となる『友へ チング』でイ・ジュンソク役をやる予定です」


-『友へ チング』はクァク・キョンテク監督の作品ですが、出演を決められたわけは。クァク監督の『愛』に昨年出演されていますが。

 「まず、クァク監督への絶対的信頼が理由です。監督と仕事をして、いろいろなものを越えることができました。ひよこがふ化するときに助けてくれるような、のどがかわいたときに水をくれるような、それがクァク監督です。一緒に仕事をさせていただき、成長した部分がたくさんあります」

今は『イカサマ師』のヨンミン役に気持ちを集中しているが、「クァク監督には釜山、地方都市に対する愛情があり、その描く情緒をうまく伝えられるか、それが問題だと思います」とその眼差しは先も見据え輝いた。クァク監督を尊敬し、また同じ釜山出身ということで、理解を深められる部分もあるのだろう。

独特の演技持論。落ち着いた語り口調に詩的な表現。男らしく力強い風ぼうでありながら、柔らかで、どことなく弱そうな部分も持ち合わせている。それがインテリ坊ちゃんでもヤクザな悪役もこなせるゆえんかもしれない。自らも「タイプキャスト」を嫌い、いろいろな役に積極的に取り組み、そのたびに演技力とカリスマ性をつけてきたキム・ミンジュン。「明日」が楽しみだ。



東京=野崎友子通信員

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