お洒落ということで噂の店は十中八九「design byチョン・シヒョン」だろう。消費と遊びの空間をデザインしてから20年。チョン・シヒョン(ハンセ大学招請教授)さんは少々乱暴な言い方をすれば「大韓民国の飲み屋のインテリアの達人」だ。1990年代半ばから話題になったバー、江南(カンナム)地域のクラブ、方背(パンベ)洞のカフェ、清潭(チョンダム)洞や三清(サムチョン)洞の韓国料理店のデザインもしてきた。

 そんなチョン・シヒョンさんの最新作は江南ではなく南(ナム)山循環路にある。ヒルトンホテルからハイヤットホテル方向の南山の山すそにオープンした「ナオス・ノバ」(新しい神殿の意)だ。02-754-2202

 チョンさんがデザインした店らしく、この店も“不親切”だ。エレベーターに乗るのか階段を上るのかとまどってしまう。地下は「地獄」、1階は「大地」、2階は「天国」というコンセプトのデザイン。その中でどれほど優雅に動くことができるかが客のお洒落度を測る物差しとか・・・。チョンさんは「店に入った瞬間から好奇心を刺激したい」と話す。

 エレベーターとトイレは店のインテリアの重要なポイントになる。この店のエレベーターはタイルのような鏡で飾られた黒い空間だ。トイレは各階ごとに違う作りになっている。赤いのれんをくぐって入るトイレや、鏡のドアを押して入るトイレなどあるが、どれが女性用でどれが男性用か分からない。そんな時は「私たちがご案内します」と店員が丁重に助けてくれる。

 この店は南山の自然とソウルの都心の間にあるが、南山の素晴らしい風景をそのまま感じさせる独特な空間だ。この店最高の魅力はその展望といえるかもしれない。特にロマンチックな夜景を店内でも感じることができるよう、店の照明を暗くし、その上に半透明の大理石を敷き、空間全体がぼうっと光るようになっている。

 地下にパンを焼く機械までそろえ、官能的なケーキ類などデザートを出すこの店だが、一番のお勧めは「シャンパン」。40種類ものシャンパンがそろっている。

 “ゆっくり出てくるナオスノバ・カナッペ”(3万3000ウォン、ひとつずつ丁寧に作るため20分かかる)を待っていると、隣のテーブルが気になってくるかもしれない。「誘惑」というキーワードを忘れないチョンさんは、ちょっとした「いたずら」をあちこちに散りばめている。鏡を通して周りの人が見えるという仕掛けだ。バーに座っていても、テーブルに座っていても、隣の人を感じることができるよう、常に視線を交わせるようになっている。

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