「交差した現在と過去の中で懐かしき初恋に再会する」

　初恋の神話は復活するか?「忘れることが出来ない初恋の帰還」を描いた映画『親知らず』が再び出会った初恋を描いた独特な純愛映画の系譜を引き継いでいる。

　17歳の少年と30歳の女性の恋物語を描いた『親知らず』の主なテーマは初恋の帰還だ。過去と現在が交差する独特の構成を通じて描き出した夢のような初恋物語は岩井俊二監督の映画『Love Letter』や李炳憲(イ・ビョンホン)、故イ・ウンジュが出演した『バンジージャンプする』を連想させる。

　岩井俊二ファンを量産した『Love Letter』は死んだ婚約者を忘れられず中学時代の彼に手紙を出して再発見した初恋の話しを独特の時間配列を通じて描き出した作品。

　『バンジージャンプする』では大学時代に出会って忘れることが出来ない初恋の相手がまったく違う姿で現れて主人公を混乱に陥れる。

　思い出と現実を行き来しながら繰り返される恋愛物語は、キム・ジョンウン、イ・テソン主演の映画『親知らず』でも同じだ。偶然に出会った初恋の男性に似た17歳の塾の教え子にときめきを感じる30歳のヒロインの心理がそのまま描かれ共感を呼ぶ。

　特に30歳の塾講師と17歳の男子高校生の恋物語は、社会的タブーに挑戦するという点で同性愛的なコードを持つ『バンジージャンプする』を連想させる。

　公開当時『Love Letter』は韓国で公開された日本映画にしては珍しく多くの観客を集めてヒットを記録、『バンジージャンプする』は多くのマニアを生んで今でも多くのファンに愛されている。

　印象的な演技を見せた『Love Letter』の中山美穂、『バンジージャンプする』で見せたイ・ビョンホン、イ・ウンジュのハーモニーも深い印象を残した。

　『ハッピーエンド』のチョン・ジウ監督の新作としても関心を集めた『親知らず』は、29日の公開を控えている。ヒロインのキム・ジョンウンは真っ直ぐで堂々とした30代の女性の姿をより成熟した姿で演じきった。

　交差する現在と過去の中に初恋との再会を描いた『親知らず』がこの2本の系譜を引き継ぐ作品となるか期待が集まっている。