連続殺人事件を扱った刑事スリラー『H』(李ジョンヒョク監督/19日公開)は、粗筋だけ聞けばハリウッド映画の『羊たちの沈黙』を想像させる。犯人が若くてハンサムだという点と、犯人と頭脳対決をする捜査官が何人かいるという点が異なる程度だ。

 6人の女性を残酷に殺害した22歳のシンヒョン(チョ・スンウ)が最後の犠牲者の死体と共に警察へ自首する。事件を担当した刑事はショックで自殺する。こうして事件は一旦、解決したかのように見えた。

 しかし、その1年後に問題の殺人犯が死刑囚として服役中にも関わらず、まったく同じ手口の犯罪が再び起こる。

 刑事チーム長を務めるミヨン(ヨム・ジョンア)とカン刑事(チ・ジニ)は、模倣犯罪でなければシンヒョンの指示を受けた殺人事件だと判断し、彼に会って事件の糸口を探る。

 『H』は幼年時代のトラウマなど精神分析学的な内容を取り入れ、映画にサスペンスを吹き込もうとしている。私生児や人工妊娠中絶などの社会問題が事件や人物、すべてに関連する。

 しかし、問題は映画的な緊張感が落ちるという点にある。スムーズでないストーリー展開の与える疑問の数々は、クライマックスの“反転”で解けるとも言える。

 しかし、洗練された質感の画面にも関わらず、単調なカメラワークは123分間の上映時間を導くには物足りなさを感じさせる。悲しい過去を持ったキャラクターたちの心理的な恐慌を伝えようとする意図かもしれないが、“証明写真”かと思わせる程に胸から上部分の顔だけを執拗に繰り返し映し出すカメラアングルは、観客の忍耐力を要求するだけだ。内容とテーマに相応しく、繊細ながらも強烈な表情演技で裏付けられていないため尚更だ。

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