世界的ヒットを記録した『イカゲーム』、色で語る…ピンク・緑・黒が伝える社会的メッセージ

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 【Pickcon】世界を熱狂させた動画配信サービス「NETFLIX」オリジナルシリーズ『イカゲーム』が、シーズン3を最後に終了した。2021年に配信されたシーズン1は、韓国コンテンツのグローバルな可能性を立証し、世界的なシンドロームを巻き起こし、アジアの作品で初めて米国のエミー賞で受賞するという快挙を成し遂げた。この作品は、単純な生存ゲーム以上の意味が盛り込まれており、韓国的な情緒と社会的メッセージを世界の視聴者に強烈に伝達した。

 『イカゲーム』の成功要因の一つは、優れた美術と色彩の演出だ。この作品で最も記憶に残る色は何と言ってもピンク、緑、そして黒だ。それぞれの色は登場人物の地位や象徴を表現する重要な要素として機能し、単純な視覚的道具ではなく、作品の世界観やメッセージを説明している。

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 まず、ピンク色はゲームを進行する要員たちが着ているジャンプスーツや複雑な迷路のように見える階段構造に使用されている。一般的には愛らしく幼いイメージとして受け止められるピンクだが、作品の中では黒い仮面や銃器と結合し、異質感と恐怖をかもし出す。チェ・ギョンソン美術監督は「娘と絵本を見ながら、童話的な雰囲気を表現したかった」と説明した。そして、色あせたピンクとミント色を主なカラーとして選択したという。ピンクはソフトで純粋な印象だが、それが監視役の衣装に使用されたことで、視聴者に心理的な違和感と脅威を同時に与えている。

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 緑のジャージはゲーム参加者たちの服装で、ピンク色の空間とはっきりコントラストをなす。この対比は、視聴者が参加者たちを一つの言葉のように、あるいは監視役の視線で見せる視覚的道具だ。緑はまた赤の補色で、ゲーム中に血が飛び散るとき、その残酷さが一段と際立っている。同時にこの服装は、韓国人にとって非常に見慣れたイメージだ。1970-80年代のセマウル運動や学校の体操着などによく使われていた緑のジャージは、時間がたって「失業者」や「落伍者」の象徴と考えられるようになった。実際にファン・ドンヒョク監督は「幼いころに着ていた体操着の色をそのまま使用した」と説明し、個人の思い出が集団の感情へと広がる構造を見せている。

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 最後に、黒い服と仮面で武装したフロントマンは、権威と統制を象徴する。参加者たちと完全に異なる雰囲気の黒い衣装は、支配者と被支配者の構図を一段と鮮明にしている。フロントマンはゲームの背後ですべてを操り、パワーと権力の象徴として表現されている。参加者たちが体操着姿で過去の人物のように見える反面、フロントマンは現代的で冷ややかな権力者の顔をしている。

 このように、『イカゲーム』はピンク、緑、黒という単純な色彩を通じ、社会的地位、権力構造、人間の欲望や無力感を視覚的に設計した。美術と色感が単純な背景ではない、物語とメッセージを伝達する手段として機能したというわけだ。ゲームという設定の中で、人間の本性や社会構造を鋭く批判した『イカゲーム』は、色彩を通じてそのメッセージを一段と強く刻み込んだ。

イ・ウジョン記者
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