ドラマ大成功のネトフリ 韓国バラエティーでは苦戦

【ソウル聯合ニュース】「イカゲーム」や「今、私たちの学校は...」などのオリジナル作品で世界的な韓国ドラマブームを巻き起こした米動画配信大手のネットフリックスが、オリジナルの韓国バラエティー番組では苦戦を強いられている。韓国の専門家は、映画やドラマと異なりバラエティー番組は言葉と文化の壁が厚いこと、世界中の視聴者をターゲットにしたネットフリックスの番組作りが韓国の視聴者にとっては違和感があることなどを指摘した。

 ネットフリックスは2018年以降、人気コメディアンのユ・ジェソクをメーンキャストとする「犯人はお前だ!」を皮切りにさまざまなオリジナル韓国バラエティーを手掛けてきた。だが、恋愛リアリティー番組「脱出おひとり島」以外はこれといったヒットに恵まれていない。

ネットフリックスが配信するオリジナル韓国バラエティー。左上から時計回りに「セレブは会議中(原題)」「犯人はお前だ!」「脱出おひとり島」「ふたり旅」(同社提供)
▲ ネットフリックスが配信するオリジナル韓国バラエティー。左上から時計回りに「セレブは会議中(原題)」「犯人はお前だ!」「脱出おひとり島」「ふたり旅」(同社提供)

 大衆文化評論家のキム・ホンシク氏は「笑いのツボは国・地域差が大きく、ローカルコンテンツをグローバル化するというネットフリックスの戦略がバラエティーでも通用するかは懐疑的だ」と話す。

 海外の視聴者向けに番組を制作したとしても、韓国の笑いが他の文化圏で反響を呼ぶのは容易でない。一方、海外視聴者を想定した番組フォーマットや編集方法は韓国の従来のバラエティー番組とは画然とした違いがあり、韓国の視聴者としては没入しにくい面もある。

 「ユ・ビョンジェの言いたいことが言えない」「パク・ナレのセクシー注意報」「イ・スグンのヌンチコチ」といった番組は、コメディアンが1人で舞台に立って観客の反応を見ながら話術だけで笑いを取るスタンドアップコメディーショーだが、韓国に浸透しているジャンルとはいえない。また、韓国の一般的なバラエティー番組でポイントとなる字幕や新語・造語がネットフリックスの番組編集では削られがちで、韓国の視聴者としては物足りなさがある。

ドラマ大成功のネトフリ 韓国バラエティーでは苦戦

 敏腕プロデューサーとして知られるキム・テホ氏が手掛けた二つのバラエティー番組を比較するとよく分かる。

 韓国動画配信サービスのTVINGが配信するオリジナルリアリティー番組「ソウルチェックイン(原題)」は、済州島で暮らす女性歌手イ・ヒョリのソウルへのお出かけを追う。韓国の視聴者はイ・ヒョリがスターとして君臨した姿や済州島での動物・環境問題への取り組みなど、すでに多くを知っており、そんな彼女がソウルで誰と会ってどんな日常会話をするかに興味をそそられる。

ドラマ大成功のネトフリ 韓国バラエティーでは苦戦

 一方、ネットフリックスがオリジナル配信する「腹ペコとモジャモジャ」は、歌手RAIN(ピ、チョン・ジフン)とコメディアンのノ・ホンチョルが韓国各地をバイクで旅する。「ソウルチェックイン」と同じくスターの姿を観察できる番組だが、人生を語るというよりは性格の違う2人によるグルメ旅にとどまり、さほど大きな注目を集められなかった。 

 大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は、韓国配信サービス用のバラエティー番組(「ソウルチェックイン」など)は主に韓国の一般大衆向けである点を指摘する。これに対しネットフリックスのターゲットはもっと幅広く、韓国の視聴者にとってはややなじめない部分もあると分析した。

 成功事例の「脱出おひとり島」については、素材と背景は韓国を意識させないものの、登場人物の心の機微を丁寧に映し出すなど韓国的な情緒を生かした点を評価した。

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