急成長するK―POPの海外市場 音楽番組ランキングも左右

【ソウル聯合ニュース】世界的なK―POPブームが続くなか、韓国音楽市場において海外での売り上げの割合が急激に上昇していることが、31日分かった。海外ファンの応援の有無がアルバム販売枚数や動画投稿サイト「ユーチューブ」での再生回数、音楽番組でのランキングにも影響を及ぼすほどで、各芸能事務所は海外ファンの反応を引き出すために四苦八苦している。

◇国境のないK―POP市場 海外での売り上げ急成長

急成長するK―POPの海外市場 音楽番組ランキングも左右

 K―POP市場の海外での売り上げは急成長を遂げている。韓国金融監督院の電子公示システムによると、人気グループのBTS(防弾少年団)やSEVENTEEN(セブンティーン)、ENHYPEN(エンハイプン)が所属するHYBE(ハイブ)の今年上半期の売上高4569億ウォン(約444億円)のうち、国内の割合は25.0%にとどまった。北米が19.8%、アジアが11.3%、その他の国が2.31%だった。

 国が特定できないオンラインでの売上高は41.4%で、ここに国内での売り上げが一部含まれている可能性があるが、ほとんどは海外での売り上げと推定されるという。すなわち、HYBEの売上高は国内よりも海外がはるかに多いことになる。

 TWICE(トゥワイス)やStray Kids(ストレイキッズ)などの人気グループを擁するJYPエンターテインメントも、今年上半期の売上高729億ウォンのうち輸出が395億ウォン、内需は333億ウォンで、海外での売り上げが国内を上回った。

 JYPの最大の収入源の一つである音盤・音源の今年上半期の売上高は、輸出が196億ウォン、内需が216億ウォンで、その差は20億ウォンだった。

 前年同期のJYPの音盤・音源売上高が輸出84億ウォン、内需243億ウォンだったのと比較すると、差が急速に縮まっていることが分かる。

 K―POPの海外での人気が高まるにつれ、世界のファンが利用するオンライン流通チャンネルも急激に成長している。

 韓国アーティストのアルバムやグッズを扱う通販サイト「Ktown4u」は、海外ファンに向けて韓国語と英語に加え中国語、日本語、タイ語、インドネシア語のホームページも開設。同サイトを運営するHMインターナショナルの昨年の売上高は1773億ウォンで、前年比133.4%急増した。

◇海外ファンの応援が成功の鍵 音楽番組ランキングも左右

急成長するK―POPの海外市場 音楽番組ランキングも左右

 このような事情から、海外のファンをどれだけ積極的に呼び込めるかがアルバムセールスの成功の鍵になった。国内の販売枚数だけではヒットを期待するのは難しいため、知名度を上げる必要がある新人グループであるほど海外ファンの確保に必死になっている。

 大手芸能事務所の関係者は「新型コロナウイルスの影響で男性グループのアルバム販売枚数が大幅に増えたが、海外ファンの割合がかなり大きいのが事実」としながら、「アルバム販売枚数を成功の基準とするなら、海外ファンの数が重要なのは確かだ」と説明する。

 別の芸能事務所の関係者も「米国や南米市場でK―POPグループが成功し、新譜以外に旧譜の販売枚数まで増加している。海外ファンも好きなアーティストのために組織的に動いている」とし、新型コロナで2年間開催できなかったコンサートが再開されれば、海外市場がさらに注目されることになるだろうと指摘した。

 K―POPのもう一つの重要な消費チャンネルであるユーチューブでは、海外ファンのクリックがヒットを左右するといっても過言ではない。

 ユーチューブによると、韓国を代表するガールズグループ、BLACKPINK(ブラックピンク)の過去1年間の動画再生回数は91億5000万回に上るが、このうち国内での再生回数は3億6100万回と、全体の4.0%に過ぎない。残りの96.0%は海外で視聴されていることになる。

 国別ではインドネシアが7億5800万回で最も多く、タイ(7億3600万回)、インド(6億7900万回)、フィリピン(6億3800万回)、メキシコ(5億1400万回)などの順だった。

 ユーチューブ再生回数は音楽番組でのランキングにも使われるため、芸能事務所にとっては非常に重要だ。

 ある地上波テレビ局の音楽番組では、ランキングの集計方式のうちミュージックビデオ(MV)のユーチューブでの再生回数が30%を占める。音盤・音源の売り上げが同程度なら、海外ファンによるMVの再生回数が1位を決めることになる。

◇海外ファンの顔色うかがう芸能事務所 各国の文化に配慮

急成長するK―POPの海外市場 音楽番組ランキングも左右

 このような理由から、韓国芸能事務所は不必要なトラブルを避けるために各国の文化的特性まで考慮しなければならなくなった。韓国人の感覚では問題にならないことでも、海外のファンの怒りを煽ることがあるためだ。

 ガールズグループaespa(エスパ)の日本人メンバー、GISELLE(ジゼル)が先ごろ撮影現場で流れていた米国の歌手、SZAの曲を口ずさんだところ、歌詞に黒人の蔑称である「niggas」という単語が含まれていたとしてツイッターに謝罪文を掲載した事例が代表的だ。

 韓日混成のガールズグループ、IZ*ONE(アイズワン、今年4月に解散)は昨年6月に公開したMVのティーザー映像で、メンバーのクォン・ウンビが額の中央につけていた宝石がヒンドゥー文化圏で宗教的意味を持つ装飾品「ビンディー」と似ていると指摘され、MV本編では削除した。

 BLACKPINKも昨年、ヒット曲「How You Like That」のMVにヒンドゥー教の神「ガネーシャ」の像を登場させ、インドのファンから抗議を受けてそのシーンを修正するハプニングがあった。

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