新型コロナウイルス感染症の影響で空の旅が閉ざされている中、各航空会社の「グッズ」(企画商品)が消費者の間で人気を集めている。海外旅行ができない消費者たちは航空会社グッズによって寂しさを癒し、航空会社はPRができる。
航空業界が27日に明らかにしたところによると、大韓航空がこのほど発売した通称「ボーディング・パス・スマートフォン・ケース」に注文が殺到しているという。ボーディング・パス(搭乗券)そっくりに作られたこの商品は、ケースの背面に氏名・到着地・出発日・座席番号などを入れることができる。オーダーメイド方式のため、発送まで10日ほどかかるのにもかかわらず注文が殺到、現在製作が遅れている。
大韓航空は、自社オンライン・ショッピング・サイト「eSkyShop(イー・スカイ・ショップ)」で子ども用の乗組員服も販売している。価格は7万7000ウォン(約7600円)。大韓航空客室乗務員のトレードマークである水色のスカーフとカチューシャも付いている。実際のパイロットの制服を模した男児用乗組員服も販売中で、購入者は客室乗務員やパイロットにあこがれている子どもを持つ親たちが多い。ボーイング777の模型やブロック、乗組員服を着たテディベアも人気商品だ。
格安航空会社(LCC)もグッズ販売に参入する様子だ。エアプサンは25日、同社のロゴ入りグッズのオンライン・ショッピング・サイト「ショップ・エアプサン」をオープンした。エアプサンの制服や航空機、チケットなどのデザインを模したマグネット、バッジ、キーホルダーなどを売っている。エアプサンでは「航空会社グッズに関する問い合わせが増えていたことから、オンライン・ショッピング・サイトを開設した」と説明している。
エアソウルは昨年9月に「ミント・モール」という名前のオンライン・ショッピング・サイトを開設、ロゴ入りスマホケースやバッジ販売を開始した。今年2月と3月の2回にわたり限定販売されたエアソウル社員証をかたどったキーホルダーは、発売二日で完売した。
飛行機でしか食べられない機内食を発売した航空会社もある。ジンエアーは「地上で楽しむ機内食」というコンセプトで「ビーフ・グヤーシュ・パスタ」「カシューナッツ・チキンとシラヤマギクのナムルご飯」「クリーム・パスタ」という3種類のホーム・ミール・リプレイスメント(HMR=家庭用調理済み食品)を昨年12月に発売した。機内食に似た印象にするため、機内食用のミールボックスのデザインを取り入れたパッケージになっている。発売1カ月で1万食売れた。
チェジュ航空は機内食のカフェを作った。今年4月、ソウル市麻浦区のショッピングセンター「AK & 弘大」1階にオープンした「旅の幸せを味わう」というカフェだ。チェジュ航空乗務員が直接注文を受け、料理を運んでくれる。今ではソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて口コミが広がり、毎日数百人が訪れる観光スポットになった。チェジュ航空関係者は「一日平均120人分の料理を用意するが、すべてなくなってしまうほど人気がある」と語った。チェジュ航空はこのほど、コンビニエンスストア「GS25」と提携して機内食をコンセプトにしたコンビニ弁当2種も発売した。
航空会社はグッズの販売について「顧客サービス戦略の一つ」と説明している。ある格安航空会社関係者は「昨年から各航空会社が先を争って実施している『観光飛行』と同じ脈絡だ。収入よりもブランドPRという目的の方が強い」「新型コロナの流行が終わり、旅客需要が回復したときに、消費者は記憶に残っている航空会社を選択する可能性が高いと予想している」と語った。
キム・ウヨン記者