「おばあさんじゃなくて女性に見える…ユン・ヨジョンならではの魅力」

俳優仲間らが語るユン・ヨジョン

 昨年のサンダンス映画祭から今年のゴールデングローブ賞まで、『ミナリ』が受賞するたびにユン・ヨジョンも入っている映画関係者のグループチャットはお祝いメッセージでにぎわった。やり取りの中には、「アカデミー賞にも行かなければなりませんね」という言葉も多かった。そんな時、ユン・ヨジョンは英語で冷水を浴びせた。「Don’ t count your chickens before they are hatched(卵がかえる前にひよこを数えるな)」。捕らぬ狸(たぬき)の皮算用という意味だ。

 映画『女優たち』『バッカス・レディ』など3つのユン・ヨジョン出演作を手がけたイ・ジェヨン監督は「期待に流さないように、平常心を保とうと努力する俳優」「ユン・ヨジョンさんは『国民の母』などの称号のように、何かの代表性を帯びることひどく嫌うが、韓国映画史上で初めてアカデミー賞の演技賞にノミネートされ、太極マーク(韓国国旗のマーク)を付けることになったのだから、気まずかったことだろう」と語った。そのプレッシャーに耐えて金メダル(助演女優賞)を取ったことになる。

「おばあさんじゃなくて女性に見える…ユン・ヨジョンならではの魅力」

 ドラマ『愛は何のために』『ディア・マイ・フレンズ』をはじめ、数々の作品で共演してきたキム・ヘジャは「ヨジョンは何事においてもはっきりしていて、実に賢明だ」「私たちは『私はあなたのことが好き。あなたも私のことが好きなのね』という間柄だが、アカデミー賞だなんてうれしすぎて嫉妬(しっと)してしまう」と言った。ドラマでもバラエティー番組『ユン食堂』でも共演したシン・グは「ユン・ヨジョンさんは瞬発力とさりげない内助があり、演技がすっきりしていて私が尊敬する後輩」「世界のどこにいても光輝く演技者」と評した。

 現実と演技が入り混じった映画『女優たち』で、ユン・ヨジョンは「私はあの醜いXに振られたじゃない!」と言った。彼女は正直だ。「最も切実な演技はお金が必要な時に出てくる」と言うほどだ。それは冗談半分、本音半分だ。イ・ジェヨン監督は「離婚して一人で家族を養っていくという状況で、次の作品にも出るため一生懸命演じ、職業演技者として生き残らなければならなかった」「ユン・ヨジョンは『私はアーティストだ』というおごりを拒否しつつ、誠実に演技をしてきたという自負心の入り交じった言葉」と説明した。

「おばあさんじゃなくて女性に見える…ユン・ヨジョンならではの魅力」

 ドラマ『風呂場の男達』や舞台『ガラスの動物園』などで共演したソン・スンファンはあるエピソードを教えてくれた。「ある女性の後輩がユン・ヨジョンさんに『どうしてあんなにセリフが上手なんですか』と聞いたことがある。すると、ユン・ヨジョンさんは『あなたはセリフを何回見るの?』と聞いた。その後輩が『数十回読む』と答えたら、ユンさんは『私は100回読む』と答えた」。アイロンがけをしながらセリフを言うシーンなら、実際にアイロンをかけながら100回練習し、自然な演技をした。ソン・スンファンは「同年代の女優の方々とは違い、年を取っても母親や祖母のようではなく、女性に見えるのもユン・ヨジョンさんならではの魅力」と言った。

 最高の人気を誇るドラマ脚本家キム・スヒョンだけでなく、ノ・ヒギョンもユン・ヨジョンを好んで使う。『嘘』『彼らが生きる世界』『ディア・マイ・フレンズ』…·。ノ・ヒギョンはユン・ヨジョンについて「きれいでもない顔と良くもない声、お世辞も言わない性格の持ち主」と言った。「けれども、(台本に)ト書きが何一つなく、『…』とだけ書いてあっても、ものすごい演技をやってのける。彼女の毒舌には、疲れ果てて退屈な世の中を癒す力がある。おかげで私は何年か十分、食べさせていただきました」。

 最高の俳優という賛辞よりも、仲間たちから「ああ、本当に良い俳優だった」と言われたかったという。映画『ハウスメイド』で共演したチョン・ドヨンは「同時代の女優として競争意識を抱いているが、(ユン・ヨジョン)先生を見るといつも刺激を受ける」と語った。「先日、先生から(携帯電話で)メッセージをもらい、涙が出た。撮影でつらいと言ったら、『あなたはチョン・ドヨンなんだから大丈夫。自分自身を信じて!」と。俳優としても人間としても頼れる方だ』。イ・ジョンジェは「ユン・ヨジョンさんは『自分のカラーは何だろう』と振り返らせてくれる演技の先生」と言った。このような数々の証言の総和こそまさにユン・ヨジョンなのだ。

朴敦圭(パク・トンギュ)記者
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