BTSも… 韓国アーティストが中国「愛国主義攻勢」の標的に

【ソウル聯合ニュース】中国で愛国主義傾向が強まっている中、韓流アーティストの言動が批判のターゲットとなるケースが相次いでいる。世界的な人気を誇る人気グループのBTS(防弾少年団)が朝鮮戦争に関する発言で中国のネットユーザーから非難された一件は、今なお韓流が中国国内で敏感な環境に置かれていることを示すものといえる。

 批判の的となったのは、韓米関係の発展に寄与した功労が認められ米国の非営利団体コリア・ソサエティーから「ヴァン・フリート賞」を受賞したBTSの受賞コメントだった。リーダーのRM(アールエム)が朝鮮戦争勃発から今年で70年を迎えたことに触れ、「両国(韓米)が共有する苦難の歴史と多くの男性、女性の犠牲を永遠に記憶しなければならない」と述べたことに対し、中国のネット上では強い反発が起きた。

BTSも… 韓国アーティストが中国「愛国主義攻勢」の標的に

 ネットユーザーは、韓米が苦難の歴史を共有するという表現は「中国の軍人を尊重せず、中国を侮辱するものだ」と主張し、こうした世論は中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報によって報じられた。

 韓国の芸能人やK―POPグループメンバーの言動が中国のネット上で問題視され、非難攻勢を受けるのは今回が初めてではない。

 今年8月には女性歌手のイ・ヒョリが韓国のバラエティー番組で、音楽プロジェクトで使う芸名として「マオはどうだろう」と冗談めかして言ったことがやり玉に挙げられた。

 中国のネットユーザーは、これが自国の最高指導者だった毛沢東氏を連想させるとして、イ・ヒョリの交流サイト(SNS)アカウントに抗議のコメントを書き込み不満をあらわにした。波紋が広がると、番組側は「特定人物を指す意図は全くなかった」と釈明した。

 また、2015年にはガールズグループTWICEの台湾出身メンバー、ツウィが韓国のインターネット番組で台湾の「国旗」を振ったことで台湾独立派との非難を浴び、謝罪に追い込まれた。

 中国は韓流コンテンツにとって大きな市場だったが、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備を巡るあつれきから16年に「限韓令(韓流制限令)」が本格化し、その影響は今も続いている。

 最近になって韓国芸能人が中国ブランドのイメージキャラクターに起用されるなどし、限韓令が緩和される兆しも見えていたが、依然として敏感なムードが残っているようだ。そんな中で中国ネットユーザーの民族主義攻勢が新たな火種となっている。

 韓国国立外交院のキム・ハングォン教授は、BTSの発言を巡る中国内での批判に対し、「最近強化された中国の愛国民族主義教育の一つの現れ。韓国の文化やK―POPの人気が高いため中国の若者がより関心を持って見ており、このことが愛国民族主義と相まって反感もすぐに表面化するようだ」と分析した。

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