「日本で受賞した時も、想像していなかった結果だったので、あいさつで感想を言いながらすごく泣きました。実は今も実感がないのは同じです」
20日、ソウルの映画館「CGV竜山アイパーク・モール」。日本映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』の試写会が終わった後、日本の人気女優・夏帆とダブル主演したシム・ウンギョン(26)が現れたのは「大型スクリーンの中」だった。同映画の韓国封切り二日前だったこの日、東京に滞在中の彼女は箱田優子監督(38)とそろって映像記者会見に出席した。韓国人女優と日本人監督がリアルタイム映像で韓国の報道陣のインタビューを受けるのも異例なことだった。
シム・ウンギョンは今年3月、日本映画『新聞記者』で韓国人女優としては初めて日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を手にした。同月の高崎映画祭でも『ブルーアワーにぶっ飛ばす』で夏帆と主演女優賞をダブル受賞した。この日は、シム・ウンギョンの映画祭受賞後、韓国メディアと初めて行う記者懇談会だった。彼女をキャスティングした箱田監督は「撮影期間中ずっと家族のように密着して過ごしました。初めて受賞の知らせを聞いた時も、『私の目は確かだったな』と思いました。シム・ウンギョンさんの感情表現や演技力、ユーモア間隔を褒められるたび、『当たり前でしょ。誰の家族だと思っているの』と思いました」と語った。
シム・ウンギョンは2017年に日本の芸能事務所と正式にマネジメント契約を結び、日本で活動を開始した。彼女は「高校時代、アメリカに留学した経験があるからか、韓国だけでなくいろいろな国で映画の仕事をしたいという気持ちが強かったです。日本映画は韓国とは違う色がありますが、私が着てみたらどんな感じになるのか気になりました」と言った。日本語でのコミュニケーションは可能だが、自然な言葉遣いができるように今もプライベートレッスンを受けているという。この日、司会を務めたお笑いタレントのパク・チソンが「1週間に何回、日本語のレッスンを受けるのですか?」と質問すると、シム・ウンギョンは「スケジュールによって違いますが、毎週1-2回から多ければ5回まで受けています」と答えた。その答えからは根気強さが伝わってくる。
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』はCMディレクターの砂田(夏帆)とその友人・清浦(シム・ウンギョン)が一緒に砂田の故郷への旅に出るという「ロードムービー(road movie)」形式の映画だ。実際にCM監督だった箱田監督の自伝的なストーリーで、同監督の長編映画デビュー作。シム・ウンギョンは、自身が演じた清浦という役について、「ディズニー・アニメに出てくるように明るくユニークでファンタジーのような人物」と表現した。夏帆とシム・ウンギョンはこの映画で高崎映画祭の主演女優賞をダブル受賞した。箱田監督は「シム・ウンギョンさんは脚本の解釈がとても大人っぽくて、物語の核心を把握する力に優れています。彼女が日本で活動を開始するといううわさを聞いて、『早く捕まえなければ』と思ったのですが、あの時の勘が的中したというわけです」と語った。
シム・ウンギョンは2004年に子役としてデビュー、今年で女優生活17年目になる。しかし、彼女は「子役から大人の女優になったころ、自分が何をしているのかよく分からなくなりました。『うまくやらなければ』『完ぺきにやらなければ』という強迫観念がかえって私の足を引っ張りました」と言った。韓日両国で女優活動を並行しているのも、突破口を見いだすための苦闘のような気がした。シム・ウンギョンは「少しずつ年を取りながら、今は悩みを消化する方法を身につけているところ。今後も韓日両国で活発に活動していきたいです」と語った。
金性鉉(キム・ソンヒョン)記者