【ソウル聯合ニュース】韓国ドラマ「愛の不時着」と「梨泰院クラス」が日本で人気上昇中だ。主演俳優が雑誌の表紙を飾り、日本の有名人がSNS(交流サイト)を通じてドラマの感想を述べるなど、「冬のソナタ」ブームをほうふつとさせている。一部の韓国ドラマだけが一時的に人気を集めるというレベルを超え、2~3年前から消費財を中心とした「第3次韓流ブーム」が日本で起きているとの見方もある。
◇「愛の不時着」「梨泰院クラス」がブームけん引
16日付の朝日新聞は、日本で韓国ドラマブームが再燃しているとした上で、ネットフリックスで配信中の「愛の不時着」と「梨泰院クラス」がブームをけん引していると報じた。
韓国のケーブルチャンネルtvNで昨年12月から今年2月にかけて放送された「愛の不時着」は、パラグライダーを操縦中に突風にあおられて北朝鮮に不時着した財閥の跡取り娘ユン・セリと、彼女をかくまい、守るうちに愛するようになる北朝鮮軍の将校リ・ジョンヒョクのラブストーリーを描いた。
日本では2月にネットフリックスで独占配信がスタートし、ランキングの上位にとどまっている。
「愛の不時着」は作品性も認められ、日本最大級の映画・ドラマのレビューサイト、フィルマークスで評価スコア(5点満点)4.6点を記録した。2016年に放送されたTBS系の人気ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の評価スコア(4.2点)よりも高い。
特に、リ・ジョンヒョクのキャラクターに対する日本女性の支持が目を引く。ユン・セリを優しく包み込むジョンヒョクに対し「ポストMe too(私も)時代のヒーロー」という評価も一部で出ている。
南北分断という特殊な状況を通じて切ないロマンスを描き、スリルまで加えたストーリー、メインキャストの脇を固めた俳優たちの演技、スイスでロケを行った勇壮な風景なども好評を得ている。
ケーブルチャンネルJTBCのドラマ「梨泰院クラス」は韓国版・青春版「半沢直樹」と呼ばれている。日本の情緒に合ったビジネス復讐(ふくしゅう)劇の骨組みに青春恋愛物語が絶妙にマッチした点が人気を集めている。
これらドラマの出演者の人気も高く、「愛の不時着」でリ・ジョンヒョクを演じた俳優ヒョンビンは週刊朝日の表紙を飾り、日本の芸能雑誌はヒョンビンやユン・セリを演じた女優ソン・イェジンに関するこまごまとした情報まで報じている。「梨泰院クラス」に主演した俳優パク・ソジュンと女優キム・ダミのヘアスタイルやファッションも雑誌で取り上げられている。
◇競争力を備えたコンテンツが強み
日本で韓国ドラマが人気を集めている背景として、ネットフリックスの役割が挙げられる。韓国コンテンツ振興院が運営するサイト、コンテンツ産業情報ポータルによると、ネットフリックスは昨年、日本のSVOD(定額制動画配信サービス)市場でシェア13.8%を記録し、動画配信プラットフォーム1位となった。新型コロナウイルス流行に伴う外出自粛生活により韓国をはじめ世界で利用者が増加傾向にある。
2000年代初めにNHKで「冬のソナタ」が放送された当時との違いは、韓国ドラマに対する関心が一つの作品に集中しているのではなく、韓国のコンテンツ全般に広がっていることだ。
日本での韓流ブームは、2000年代初めの「冬のソナタ」と主演俳優ぺ・ヨンジュンが巻き起こした第1次ブーム、2010年ごろに東方神起など韓国アイドルグループの人気が高まったことでK―POPを前面に押し出した第2次ブーム、2018年から始まった韓国化粧品やチーズタッカルビなど消費財を中心とした第3次ブームに分かれる。
韓国コンテンツ振興院の黄仙恵(ファン・ソンヘ)日本ビジネスセンター長は聯合ニュースの取材に対し、「2000年代以降に生まれた世代は母親や祖母が『冬のソナタ』に夢中になったのを目の当たりにしているため韓流に対する親近感はあったが、BTS(防弾少年団)やTWICE(トゥワイス)のコンサートチケットを買うほどの経済力はなかった。値段が安い(韓国の)消費財を中心に楽しんでいたこの世代が韓国のコンテンツにはまった時期がまさに今だ」と説明した。
また「韓流に親近感を抱きK―POPファンだった人々が韓国ドラマに関心を持ち、これまでの韓流ブームとは全く関係のなかった世代にもブームが拡大した」とした上で、「愛の不時着」「梨泰院クラス」に対する関心がほかの作品にも向けられ、韓国ドラマの競争力が非常に向上したとの見方を示した。