「日本のドラマ」を見ていてふと気づいた
「体調悪くても出勤する」のではなく「体調悪ければ休む」という発想の転換
自分の健康は個人のものではなく、みんなの健康に直結するから
久しぶりに面白い日本のドラマを見つけた。石原さとみ主演の『アンナチュラル』だ。不自然死を調査する東京都内の架空の法医学研究機関を舞台に、遺体を解剖して真実を究明する法医学者たちの活躍が繰り広げられる。毎回違うエピソードが早い展開で繰り広げられ、一度見出したら全話を最後まで一気に見てしまった。2018年のドラマだというのに、なぜ今になって見たのかと言うと、強制的な「週末巣ごもり」がもたらしてくれた想定外のご褒美だと言えよう。
偶然にも、第1話のエピソードは中東呼吸器症候群(MERS)だった。中東出張から帰ってきた若い男性が突然死する。死因は虚血性心疾患。だが、これを受け入れられない両親が解剖を依頼したことからストーリーが始まる。出張直後、彼が会ったという協力会社の女性社員も翌日死亡した。偶然だろうか。毒物・劇物調査までした研究所は、最終的にMERSが原因であることを突き止める。
男性が最初の感染者であり、「スーパー・スプレッダー」(多数の他人に病気を感染させる力が極めて強い感染者)だとされると、世論の非難が集中した。「息子さんのせいで敷島由香さんが死んでいるんですよ!」。男性の両親は腰を折るようにして謝罪し、父親は涙声で話した。「息子が無理を押して帰国したのは、会社を休んではいけないという気持ちがあったからだと思います。子どものころから、私は『風邪ぐらいで学校を休むな』と、『我慢強い男になれ』と、そう言い聞かせて育てました」。母親も言った「間違っていたのかな?」。