安倍首相批判映画『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞
韓国人女優の受賞は史上初
「すみません。(受賞するとは)全然思わなかったので、全然準備をしていなかったです。ごめんなさい。本当にありがとうございます。本当に一緒に共演できて本当に光栄でした」
6日、東京都内のグランドプリンスホテル新高輪で行われた「第43回日本アカデミー賞」授賞式で女優シム・ウンギョンが映画『新聞記者』の演技により最優秀主演女優賞を受賞した。プレゼンターを務めた俳優・役所広司が「最優秀主演女優賞は…」と言った時、ニコニコ笑っていたシム・ウンギョンは、自分の名前が呼ばれると文字通り凍り付いてしまった。それでもステージに上がったが、すすり泣きでしばらく言葉を発することができず、しばらくしてやっと日本語で受賞の心境を語った。
日本で最も権威のある映画賞「日本アカデミー賞」はノミネートに当たる各部門の優秀賞を今年1月に発表し、その中から最優秀賞を授賞式当日に発表する。韓国人の女優が最優秀主演女優賞を受賞したのは、1978年の制定以来、初めてのことだ。ノミネートに当たる優秀主演女優賞は『空気人形』(2009年)のペ・ドゥナが受賞している。
映画『新聞記者』は日本の政治スキャンダルを通じて政府とマスコミを批判した映画だ。安倍首相が関与した私学不正疑惑と内容がよく似ており、「反政府映画」として注目を集めた。東京新聞社会部・望月衣塑子記者の同名著書を基に製作された。
日本人記者として描かれている原作とは違い、シム・ウンギョンは韓国人と日本人の間に生まれた4年目の社会部記者として登場する。この作品のために1年間日本語を勉強し、先月行われた第74回毎日映画コンクールで既に女優主演賞を贈られた。
朝日新聞電子版は昨年7月、「候補に上がった日本の女優たちは反政府的な内容で固辞し、シム・ウンギョンに役が回ってきた」と報道した。しかし、映画を製作した河村光庸プロデューサーは「シム・ウンギョンをキャスティングしたのは個人的に非常に好きな女優だからだ。彼女の知的な面、仕事で見せてくれたさまざまな姿が、真実を追求する役にぴったりだと思った。日本の女優に出演をオファーしたことはない」と話す。
日本アカデミー賞で映画『新聞記者』は最優秀主演女優賞ほか最優秀作品賞と最優秀主演男優賞(松坂桃李)も受賞した。日本の映画関係者の間では「韓国人女優が主演女優賞を受賞したのも異例だが、反政府映画が作品賞を受賞したのも驚きだ」という反応だ。日本アカデミー賞は米国のように映画関係者からなる4000人以上の会員が投票で受賞者を決める。日本の映画ジャーナリストの斉藤博昭氏は「反政府映画を作った勇気、それによるさまざまな政治的論争などが反映され、作品賞を受賞したものと見られる」と分析した。
シム・ウンギョンは2017年に日本のマネジメント会社と専属契約し、日本に進出した。それ以降、韓日両国を行き来しながら活動しており、これまで日本映画『架空OL日記』『椿の庭』などを撮影している。
イ・ヘウン記者