「ホワイト・オスカー92年」を覆した

▲写真=NEWSIS
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 うたげが終わると、彼はステージ裏にへたり込んだ。足の力が抜けた。92年にわたるアカデミー賞の歴史が覆った瞬間だった。

 9日(現地時間)、米カリフォルニア州ロサンゼルス市ハリウッドのドルビー・シアターで行われた第92回アカデミー賞授賞式で、ポン・ジュノ監督は最高賞である作品賞をはじめ、監督賞・脚本賞・国際長編映画賞まで、オスカー像をなんと4つも獲得した。

 あらゆる初記録が書き換えられた。101年の歴史を持つ韓国映画は初めてアカデミー賞を手にし、92年の伝統を持つアカデミー賞は初めて非英語圏の映画に作品賞を贈った。カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した映画がアカデミー作品賞に輝いたのも、1955年米国の映画『マーティ』以来2度目だ。

 異例尽くしの日だった。『パラサイト 半地下の家族』(以下、『パラサイト』)と作品賞をめぐり最も激しく争っていたのは、サム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』。白人監督が作った白人主流の戦争映画を抑えて、韓国人監督が最も韓国的な状況を韓国語で描いた映画がオスカー像を手にした。メンデス監督は授賞式直後、「『パラサイト』はマスターピース(傑作)だ」と言った。

 ハリウッドの名女優ジェーン・フォンダが作品賞の受賞者として「『パラサイト』!」と叫ぶと、客席にいたすべての人々がスタンディングオベーションを送った。トロフィーを手にした制作会社Barunson E&Aのクァク・シネ代表は「想像もしたことのないことが、実際に起こった」と話した。ポン・ジュノ監督も「韓国的なものが全世界を魅了させることができたようだ」と言った。

 金城鉄壁が崩れた場で、パラダイムは書き換えられる。アカデミー賞は2016年から「白人男性中心の映画祭を変えなければならない」という非難にさいなまれてきた。これに対して米国映画芸術科学アカデミー(AMPAS)は会員の少数人種の割合を8%(2015年)から16%(2018年)にまで増やしてきた。こうした時に登場したポン・ジュノ監督の『パラサイト』は、アカデミー賞の文法を破壊し、新たな歴史のページを書き加えた。李御寧(イ・オリョン)元文化部長官は「『パラサイト』=韓国語原題『寄生虫』=は寄生ではなく相生(共に生きること)の映画だ。西洋文化に『寄生』し、追いかけるばかりだった韓国映画が、世界の文化の流れを変えて大逆転を成し遂げた」と語った。

宋恵真(ソン・ヘジン)記者
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