【ソウル聯合ニュース】「K―POPの人気をリードするのは歌手ですが、それに劣らず重要な役割を果たしてきたのが作曲です。韓国の作曲の優秀性は海外で認められているだけに、今こそ海外進出を増やすべきです」――。
韓国の著名な作曲家・音楽監督のオ・ジュンソン氏(フォレストメディア代表)=53=は2日、聯合ニュースのインタビューに応じ、日本、中国、台湾などの国々からアイドルのCDやドラマのオリジナル・サウンドトラック(OST)の作曲依頼を受けているとしながら、「アジアに『作曲韓流』を伝播したい」と海外進出への意欲を語った。
オ氏は韓国のみならず世界でもヒットしたドラマ「花より男子~Boys Over Flowers」をはじめ、「主君の太陽」「マイガール」「シティーハンター in Seoul」「検事プリンセス」「シンイ―信義―」「シンデレラと4人の騎士<ナイト>」「花郎<ファラン>」など、数々のドラマの楽曲を手掛けた。テレビ・映画音楽、K―POP作曲、ミュージックビデオ監督などの分野で実力を認められている。
高校時代からアマチュアバンドで活動。大学の仏文科に進み、創作音楽サークルで活動しながら歌手になる夢を追った。大学在学中だった1989年、プロダクションにシンガーソングライターとしてスカウトされてCDを出したが、折悪しく歌手のマネジャーとテレビ局プロデューサー間の大型贈収賄事件が持ち上がり、全くPR活動ができず日の目を見なかった。
挫折していたところへ手を差し伸べてくれたのは、意外にも著名な編曲者だった。当時はアルバム制作でメロディーを作る作曲よりも、さまざまな伴奏を付ける編曲の重要性が目立っており、オ氏の編曲の実力は注目を集めた。
オ氏は「編曲を20代の半ばで始め、暇を見て作曲もするようになり、人より早く業界で足場を固めることができた」と振り返り、「歌手の夢はかなわなかったが、数多くの歌手のヒット曲を手掛け、ドラマのサウンドトラックで海外にファンもできたから、災い転じて福となすということになった」と語った。
韓国の作曲家として唯一、海外で自身の名を冠したドラマコンサートも開催した。2012年に沖縄で開いたコンサートでは、オーケストラとバンドがコラボレーションしたステージにドラマの楽曲を歌った歌手が立ち、日本各地から集まった多くの韓流ファンを沸かせた。
13年からは本格的に日本で活動してきた。ドラマや映画の楽曲に加え、現地のアイドルの楽曲に作曲分野を広げるため、自身を含む3人の作曲家でチーム「Top Track」も発足させた。自ら育てたアイドルグループ「7 O'Clock(セブンオクロック)」の日本進出にも力を入れる。
日本の大手公演制作会社と手を組み、来年にはオ・ジュンソン・ドラマコンサートを東京や大阪など5都市で開催する計画だ。
オ氏は「ポップ音楽の作曲家に対する韓国の待遇は日本や中国よりも低いのが現実。実力程度には国際的にも認められているため、海外進出はまた別のチャンスになるはずだ」と言葉に力を込めた。
作曲家を志す後輩たちに向けては「いい音楽をつくる最初の秘訣(ひけつ)は多様な音楽をたくさん聴くこと。おかげで今も現役で活動している」とアドバイスした。
在日コリアン企業家団体、東京韓国商工会議所の理事として、韓国国家基幹ニュース通信社の聯合ニュースが先月27日にソウルで開いた「多文化フォーラム」に出席した。オ氏は、日本にはハーフの歌手が多くいるほど多文化に寛容だとしながら、「まだ韓国国内の意識はそれに及ばないが、目を外に向ければ限りなくチャンスは多いということを多文化家族(国際結婚家庭など)に伝えたい」と語った。