最も暑い時期に当たる三伏(日本の土用の丑の日に相当)のうち最初の初伏を迎え、夏に備えるためさまざまなスタミナ料理を求める人が増えてきた。特に、この時期はお腹をしっかり満たしてくれるスタミナ料理が必須なだけに、韓牛(韓国伝統の肉牛)をたっぷり使ったメニューが人気を集めている。朝鮮中期に編纂された「食療纂要」には「牛肉を食べると体が温かくなり、元気を回復させ、骨髄を満たすことができる」などと記載されている。
今年は元気回復のため、韓牛を使ったスタミナ料理を食べて、暑さに打ち勝とう。
◆韓牛コムタン
白濁したスープに溶け込んでいる肉の味が逸品の韓牛コムタン(牛骨スープ)は、韓牛の骨をじっくり煮込んでつくったもので、たんぱく質やカルシウムが豊富で免疫力を高め、気力をよみがえらせてくれる。一般的に、寒い冬に食べられることが多いメニューだが、「以熱治熱(熱をもって熱を癒すこと)」のための夏のスタミナ料理としてもピッタリだ。家で食べるなら、コムタンを雑煮やワカメスープなどスープ料理のベースにしてもよい。
◆韓牛ユッケジャン
ユッケジャン(牛肉や野菜を煮込んだ辛いスープ)は、昔からスタミナ料理が発達してきた韓国で、参鶏湯(サムゲタン=丸鶏の中に韓方薬の材料やもち米を詰めたスープ)とともに、代表的な三伏のメニューの一つとして挙げられる。昔は手に入れるのが簡単だった肉を入れてつくっていたが、今では牛肉を使っている。食欲がなくなったり、消化不良になりやすい夏には、肉をゆでてスープを煮込んだユッケジャンが食欲回復にもってこいだ。
ユッケジャンは通常、韓牛のあばら肉をゆでてから繊維に沿ってちぎり入れる。宮中では牛の胃袋や小腸も入れてつくったという。ユッケジャン1杯で汗を流せば、体がポカポカするほか、体内にたまった熱を排出し、健康的な夏を過ごすことができる。
◆韓牛ワカメスープ
ワカメはヨードやカルシウムを豊富に含んでおり、産後に子宮収縮を助け、造血剤の役割を果たし、産婦たちによい食品として広く知られている。昔から韓国では、女性が子どもを出産した日や誕生日には必ずワカメスープを食べてきた。そんなワカメスープにオレイン酸やアミノ酸が豊富な韓牛を加えた「韓牛ワカメスープ」は、暑い夏を乗り越えるのに効果的なメニューと言える。
韓牛のあばら肉や膝後ろの肉を煮込んでワカメスープに入れると、さらに深みがある味を感じることができる。韓牛にたくさん含まれているアミノ酸は血をきれいにし、胃腸の機能をよくし、体を温かくしてくれ、腹持ちがいい。
ソ・ミヨン記者