カフェでお茶を飲み、レストランで食事をし、ブティックで服を購入するのはもう昔の話だ。服売り場にミーティングルームルームができ、銀行なのか書店なのか分からない空間になり、カフェは植物園や講演会場として使われる。本来の用途に加え、ほかの空間に変身する「ワン(one)空間マルチ・ユーズ(multi-use)」。一つの目的で使用する「空間1.0」時代から費用節減と共有を前面に出した「空間2.0」が主流だったとしたら、今では共有を基本として消費者の好みに合わせて変身する「空間3.0」がトレンドに急浮上している。
◆共有キッチンから共有工場へ…「聖水連邦」の実験
1970年代の化学工場をリモデリングし、最近ソウル市城東区聖水洞に登場した「聖水連邦」は、既存の複合空間に「生産」を結び付けた。コの字型の建物の左側1階にある「ティングルストア」は小規模ブランドを集めた「ティングル市場」を正式な売り場にした第1号店で、「共有工場」の概念を含んでいる。小商工人たちが生産した質のよい商品を現場でさっと包装することができる空間を設けたことで、生産・消費・流通が1カ所でなされるように。右側1階には肉加工専門店「ジョンクックデリミート」、ギョーザで有名な「昌華堂」、さらに「ピザ・シーズン」が入っており、2階にはこの店舗に食材を供給する「ファーム・フレッシュ・ファクトリー」が3月にオープン。小規模な名店を集めた光化門Dタワー「パワーフレンド」、汝矣島の「ディストリクトY」などをオープンしたOTDコーポレーションのソン・チャンヒョン代表の作品で、「共有キッチン」からさらに一歩進んだ「共有工場」という概念を導入した。
オープン後1カ月もたたないうちに4000人以上が訪れ、写真共有ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「インスタグラム」の名所として生まれ変わった3階の「天上家屋」カフェは、総ガラスの天井、床には暖房の線を敷いて温室の構造に。植物園カフェは見慣れないものではないが、随時、共有講演会場に変身するのがポイント。ソン代表は「少し有名になると、どれもこれも似たようなものができ、商圏が崩れる『ジェントリフィケーション』を警戒するため、自己生産能力を持った施設として空間の再生を図っている」とコメントした。
◆物の代わりに人で埋めよ…「空間3.0」時代
今年1月にソウル市江南区清潭洞にオープンしたファッションブランド「ナウハウス」のフラッグシップ・ストアに入ると、首をかしげたくなる。服売り場だが、990平方メートルの空間に置かれた服は10着にもならない。展示空間兼大衆のための「共有テーブル」が一方の面を埋め、カフェや芸術作品が残りを埋める、別名「文化空地」。家具デザイナー、建築家、インスタレーション・アーティストなどからなるアーティスト・グループ「チーム・ウイルス」とタッグを組み、設計した。「チーム・ウイルス」のデザイナー、ムン・スンジは「内部構造が組み立て式に設計され、ギャラリーや公演会場などにさっと変身可能。服がたくさんは売れなくても、客が集まり楽しんでもらええば、ブランドに対する親密度や理解度を高めるのに役立つ」と語った。ソウル市竜山区漢南洞にオープンしたサムスン物産の「スーツ・サプライ」もやはり、ハンガーを並べる代わりに男性たちの社交空間であるパティオを大幅拡張し、よい反応を得ている。