ARが素材、ヒョンビン主演『アルハンブラ宮殿の思い出』好評

▲拡張現実ゲームにアクセスしたヒョンビンが剣を手に戦士と戦いに行くところ。
▲ ▲拡張現実ゲームにアクセスしたヒョンビンが剣を手に戦士と戦いに行くところ。

 スペイン・グラナダのとある街角。突然「グワン!」という轟音が響き、城壁が炎に包まれた。その瞬間、広場に立っていた大きな戦士の銅像が主人公に迫って来た。戦士の剣で斬られた男の腕から血がどくどくと流れた。「致命的一撃を受けました。あなたはナスル王国の戦士に殺されました」

 12月1日からスタートしたドラマ『アルハンブラ宮殿の思い出』(tvN)の勢いは尋常ではない。拡張現実(AR)ゲームという、まだなじみの薄い素材を扱った作品にもかかわらず、第1話7.5%(ニールセン・コリア調べ、全国有料加入世帯基準)、第2話7.4%の視聴率を記録した。40代女性の視聴率が9.5%と最も高く、次いで40代男性(9.3%)、30代女性(6.3%)という順だった。

 拡張現実という素材の新鮮さが奏功したと分析されている。放送直後、「聞いたことも見たこともないジャンル物」を意味する「トゥッポムル」という別称が付いた。ソーシャルメディアは「ゲームのことは全く分からないけど面白い」「自分がゲームしているかのように、あっというまに時間がたった」という好評であふれ返った。大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「始まったばかりなので、ゲームにアクセスした瞬間、突然天気が変わったり火が出たりといった仕掛けを施し、現実と仮想世界を区別する親切な演出が目立った」と指摘した。『ナイン~9回の時間旅行~』『W-君と僕の世界』など、ファンタジーにもがっちりしたストーリーを組み込む脚本家ソン・ジェジョンの力が大きい。「信頼して見ることができる脚本家ソン・ジェジョン」という声が上がっている。

ARが素材、ヒョンビン主演『アルハンブラ宮殿の思い出』好評

 『私の名前はキム・サムスン』『シークレット・ガーデン』などで見せてくれた、そっけないがユーモラスなヒョンビンの魅力は相変わらずだった。重低音の声も女性のハートを揺さぶった。「僕は魔法を見に、ここまで来た」「1年前に僕がヒジュに語った未来予測はどうなっただろうか」など合間合間に流れるヒョンビンのナレーションは、まるで動画投稿サイト「ユーチューブ」の自律感覚快楽反応(ASMR)コンテンツのように耳をくすぐった。何も見えない状態で剣を振り、また剣で斬られてばたっと倒れ、起き上がるヒョンビンの演技も説得力があった。主人公が着用したレンズを通して魔法の世界と現実が重なり合って存在する、という設定を違和感なく作り出した。

 共存し難い二つの世界が交差し続けることで、視聴率を引っ張り上げたという分析もある。ゲームと現実、デジタルとアナログ、中世と現代、ソウルとグラナダという、互いに異なる世界が絶えず交差することで、視聴者に神秘的な印象を与えている。大衆文化評論家のチョン・ソクヒ氏は「緊張感あふれる展開、好奇心を刺激するミステリーで番組序盤から視聴者の注目を引き付けただけに、単なるロマンチックコメディーに流れさえしなければ名作ドラマになる可能性が高い」と分析した。

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