韓国ドラマで今、「本を読む男」が人気

手荒で自分勝手、タフな男は時代遅れ
読書が「イケてる趣味」に浮上

韓国ドラマで今、「本を読む男」が人気

 「文学青年」パク・ボゴムが本を読んでいる。陽射しを浴びながら読んでいる本は、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』と、パク・ジュンの詩集『あなたの名前を煎じて何日か飲んだ』。tvNは公式ツイッターに、11月末から放送開始予定のドラマ『ボーイフレンド』主演のパク・ボゴムが本を読んでいる写真を掲載。「秋の陽射しのような文学青年パク・ボゴム」と題し、キャラクターについて「図書館・バスなど場所を問わず本から手を離さない純粋な青年」と説明した。

 ドラマの男性主人公が本を読んでいる。女性主人公を「壁ドン」していたタフな男は今や時代遅れだ。女性が「荒っぽい男は暴力的」と感じるようになったことで、男性主人公の魅力ポイントも変わった。人気ドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のコン・ユや『星から来たあなた』のキム・スヒョンもドラマの中で本を読み、ベストセラーを生んだが、最近では最初から登場人物を読書好きという設定にしている。

 KBSのドラマ『最高の離婚』の登場人物紹介で、主人公チョ・ソクム(チャ・テヒョン)は猫と一緒に読書の時間を楽しむ。好きな作家はドストエフスキー。とっておきの長崎カステラを食べながら本を読もうと、会食の2次会も断って急いで帰宅する。大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「ドラマの男性主人公の魅力は、その時代の人々が考える男性の魅力を反映している。昔とは異なり、知的で概念ある男性が女性にアピールしているということ」と語った。

 時代劇も例外ではない。tvNの月火ドラマ最高視聴率を記録した『100日の朗君様』の主人公ウォンドゥクも、ステレオタイプな男性主人公とはかけ離れていた。王世子だったが記憶をなくし、平民として生きることになったウォンドゥクは、薪割りも荷物運びもできず、「何の取柄もない男」と言われた。ウォンドゥクの魅力は意外にも詩の朗誦バトルで明らかになった。ウォンドゥクは貪欲な両班(ヤンバン=朝鮮王朝の貴族階級)を批判する詩の一節を吟じ、女性主人公に酌をさせる令監を制した。「詩の一節でパク令監めの鼻っ柱をへし折ったウォンドゥク」の映像クリップは、ポータルサイトで再生回数13万回を記録し、「女性主人公を守るために、虚勢ではない見事さを見せてくれた」「文系セクシーとはこういうもの」などのコメントが付けられた。

 来年放映予定のドラマ『ロマンスは別冊付録』(tvN)の舞台は出版社で、本を作る人々の物語を描く。男性主人公を演じるイ・ジョンソクは、学生時代に「ジャンル物」と呼ばれる娯楽文学でデビューし、出版社の初代編集長として活躍する役だ。またイ・ジョンソクは、11月末放送の特番『死の賛美』(SBS)でも天才劇作家・金祐鎮(キム・ウジン)を演じる。イ・ジョンソクは『死の賛美』の撮影現場で手あかが付いた本を読む写真をインスタグラムにアップした。SBSは「これまであまり知られていなかった金祐鎮の作品世界に光を当てる予定」とコメントした。

 このところ芸能人が本を読む様子をカメラに収めて公開し、ソーシャルメディアで本を推薦しており、読書が「イケてる」趣味に浮上している、という点も影響している。イ・ジョンソクは羅泰柱(ナ・テジュ)の詩にエッセイを付けたグラビア集を出したこともある。また防弾少年団は、ヘルマン・ヘッセの『デミアン』と、ジェームズ・ドゥティの『スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック』をアルバムのモチーフとし、本の売り上げに影響を与えた。

韓国ドラマで今、「本を読む男」が人気

 さらに読書アプリ「ミリの書斎」は、人気ドラマ『ミスター・サンシャイン』主演のイ・ビョンホンとピョン・ヨハンをモデルにテレビCMまで制作。2人はユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』を要約・解説するリーディングブックの制作にも携わった。CM映像は動画サイト「ユーチューブ」で再生回数120万回を超えた。映像には「ユーチューブのCMを検索して見直したのは初めて」「2人の俳優のお陰で、知性ある人間になれそう」といったコメントが付けられた。

韓国ドラマで今、「本を読む男」が人気

ペク・スジン記者
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