地域の特産物の味を生かし、産地の特徴を詰め込んだ「ご当地パン」が最近、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて大人気を集めている。「ご当地パン」は老若男女誰でも負担なく食べることができ、地域の特産物など、各地で生産された食材を使っており、故郷の味を長い間感じられる点が特徴だ。
韓国3大あんぱんの一つに挙げられる大邱のヤプリカパンから、済州道でしか味わえない済州タチウオパンに至るまで…各地域を代表するご当地パンを紹介しよう。
【全国のご当地パン】
◆大邱ヤプリカパン
大邱のヤプリカパンは、韓国3大あんぱんの一つに挙げられるベーカリー「大邱近代通りあんぱん」が販売している大邱の名物パンだ。ヤプリカパンは、夏にとても暑いことで知られる大邱を代表する野菜パン、という意味だ。最初から大邱を象徴する特産メニューとして開発され、大邱を訪れたら必ず食べるべきパンとして、地域住民たちから愛されている。
パプリカ、人参、タマネギ、トウモロコシなどの野菜とハムを混ぜた具を生地で包んだ後、揚げずにオーブンで焼き、へルーシーに仕上げている。野菜のシャキシャキした食感、ハムの風味が調和をなし、甘くなく脂っぽさもないため、負担なく食べることができるのが特徴だ。地域の名物パンらしく、食材の野菜は大邱産を優先的に使用している。
◆束草紅葉パン
束草の紅葉パンは、束草の代表的な名山・雪岳山をモチーフにし、故郷の味を詰め込んだ名物パンだ。秋になると絶景をなす美しい雪岳山の紅葉を表現した、かわいらしいデザインも目を引く。小麦粉で作ったパンとは異なり、防腐剤や漂白剤を一切使っておらず、束草産のコメとメープルシロップ、あんこだけで作っているため、高級カステラのようなやわらかさと甘みが感じられる。
◆清洲直指パン
清洲の直指パンは、清州を象徴する、全世界に残っている金属活字で印刷された本の中で最古のものといわれている「直指心体要節」をモチーフにし、文字を入れて作った清州の名物パンだ。四角の中に直指という文字が刻まれており、枠の上には雲をかたどり先祖の地位を込めた丸い模様が入っている。直指パンは国産小麦ともち麦を混ぜてつくっている。栄養価が玄米より高く、食物繊維が白米の10倍多く含まれており、消化促進を助けてくれるウェルビーイングパンだ。健康を考え、保存料を一切使っていないほか、あんこも低糖質でつくられているのが特徴。直指パンはもち麦を使っているため、モチモチしており、消化にいいパンだ。
◆慶州皇南パン
慶州の皇南パンは、1939年に皇南洞でつくられ始めた、慶州を代表する名物パンだ。ぎゅっと詰まったあんこと真心込めてこねられた生地に、慶州の独特な味が感じられるのが特徴。特に、あんこが透けて見えるほど薄い生地が味の秘訣だ。ほろ苦いブラックコーヒー、濃厚な牛乳など、さまざまな飲み物を添えると、皇南パンの甘さとうま味がよりいっそう強く感じられる。
◆莞島張保皐(チャン・ボゴ)パン
莞島の張保皐パンは、莞島の特産物であるあわびを使った、莞島の名物パンだ。張保皐パンは、美しい海を誇る莞島で育ったアワビをはじめ、メカブ、ビワなど莞島の特産物を使った生地でつくる。莞島産アワビ1つを焼いて丸ごとパンの上にのせた、圧倒的なビジュアルが特徴だ。張保皐パンは新鮮な莞島産海産物をはじめ、国産小麦と有機砂糖、生乳100%使用バターを用い、健康を考えているのも注目すべき点だ。
◆済州タチウオパン
済州のタチウオパンは済州道でしか味わえない名物パンで、済州の特産品であるタチウオをかたどってつくられている。細長いタチウオの形をしたタチウオパンは、生地はもちろん、具にもタチウオの身を加えており、済州の風味がたっぷり詰まっているのが特徴だ。生地には焼いたタチウオの身と乾燥ミカン、漢拏峰のエキスなどを加え、臭みをなくした。そして、タチウオの頭の部分には済州特産のフルーツを使ったアイスクリームをのせて仕上げている。