「『15歳以上視聴可』なら中学2年生が見てもいいものじゃないですか? それなのに、実際は子どもが高校生だとしても到底一緒に見られないものでした」。京畿道城南市に住む主婦ナ・ヒジュさん(45)が11日にスタートしたドラマ『ボイス2』(OCN)を実際に見て語った言葉だ。「人の腕を切断するのではないか、耳を切り落として記念品だと言いながら箱に入れるのではないか…高校2年生の娘は見ている最中に『怖い』と言って泣き出しました」。
テレビドラマや映画のレーティング(等級分け)をめぐる論争は後を絶たない。今年初めのSBSドラマ『リターン』は「15歳以上視聴可」だったが、過度に暴力的・扇情的で視聴者から強い抗議を受け、こうした論争の新たな発端となった。5月公開の映画『毒戦』や、6月公開の映画『魔女』も「非常に暴力的で残酷だ」と評されながら「15歳以上観覧可」だった。「等級審議基準は暴力に対して寛大すぎる」という声もある。
■監督でさえ首ひねるレーティング
映画『魔女』のパク・フンジョン監督は6月の記者懇談会で「正直言って『15歳以上観覧可』になるとは思わなかった」と言った。この映画には高校生たちが連続殺人をして死体を損壊したり、遺棄して燃やしたりするシーンがある。映像物等級委員会は同映画について「遺体遺棄・銃撃戦など、殺人や暴力のシーンがやや刺激的に描かれているが、ファンタジー的な要素が強いテーマであることも念頭に表現の程度などを考慮した」と述べた。ファンタジー映画であることを考慮してレーティングの年齢を下げたということだ。観客たちはこうした同委員会の決定に首をかしげている。映画評価サイトにも「これがなぜ15歳以上観覧可なのか」という疑問が殺到した。
『魔女』より1カ月前に封切られた『毒戦』も「15歳以上観覧可」とレーティングされて同様に物議を醸した。アジア最大の麻薬組織のトップを捕まえようとする刑事たちの物語ということで、麻薬製造・流通過程はもちろん、登場人物たちが麻薬を吸引するシーン、拷問シーン、腕を切断するシーンもある。女優のセミヌードも修正なしでそのままだ。女性のセミヌード・シーンが含まれている映画は普通、「青少年観覧不可」となるのがこれまでの韓国映画界の常識だった。同委員会は「問題のシーンは限定的に描写されているので、15歳以上なら観覧できる映画だ」と説明した。だが、同委員会のホームページ内の、観客が映画のレーティングを定める「私の映画レーティング」コーナーを見ると、『毒戦』は「青少年観覧不可」と判断されている。観客でさえ同委員会の審議は寛大すぎると感じているのだ。同委員会の委員だったある人物は「等級審議では委員同士でも『海外に比べて韓国の方が性については厳しく、暴力に対して寛大なのでは』という論争があった」と語った。
■ドラマのレーティングはあいまい
ドラマの等級審議基準は映画よりもあいまいだ。視聴等級は放送局が独自に付け、放送通信審議委員会が事後制裁措置を取るためだ。例えば、OCNが今年初めまで放送していたドラマ『悪い奴ら:悪の都市』は過度な暴力シーンがある放送回は「19歳以上視聴可」、そうでない放送回は「15歳以上視聴可」とレーティングして放映された。1つのドラマのレーティングが放送回によって上下したということで、その実効性に対して疑問が呈されている。このドラマは結局、放送通信審議委員会の制裁を受けた。OCNドラマ『ボイス1』も序盤は15歳以上視聴可」で放送したが、暴力シーンに対する指摘が相次ぐと、途中で「19歳以上視聴可」にレーティングを切り替えた。