「俳優ユ・テオは高慢だが純粋で、無謀でありながらも拒否できない、ロシアのロック歌手ビクトル・ツォイの魅力を表現する方法を見いだした」
これは、第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されたロシア映画『Leto』(キリル・セレブレニコフ監督)に対するフランスの日刊紙「ル・モンド」の評だ。韓国系ドイツ人俳優ユ・テオ(37)=テオ・ヨー=が旧ソ連の伝説的ロック歌手ビクトル・ツォイを演じた同作は、現地メディアでかなり好評を集めている。ロシア語で『Leto』とは夏を意味する。今年のカンヌ映画祭コンペティション部門に出品された映画は21本。現在までに評点が公開された映画は5本だ。
メディア15社の評点を総合するフランスの映画雑誌「ル・フィルム・フランセーズ」は『Leto』に平均評点2.93点(4点満点)を付けた。現時点では首位の点数だ。フランスの総合日刊紙「ル・フィガロ」「ル・パリジャン」など6社は4点満点を意味する「黄金の棕櫚(パルムドール)」を贈った。続いてポーランドのパヴェウ・パヴリコフスキ監督の戦争映画『ZIMNA WOJNA』(英題『Cold War』)が2.42点で2位に付けた。米国・英国・フランス・中国など世界10カ国・地域のメディアが参加した「スクリーン・デイリー」では『ZIMNA WOJNA』が2.9点で1位、『Leto』は2.4点で2位だった。『Leto』と『ZIMNA WOJNA』はどちらもモノクロ作品だ。
『Leto』のセレブレニコフ監督は、同作を撮影中に公金横領の疑いで自宅軟禁され、カンヌ映画祭には出席できなかった。一部では「『Leto』は若者の反抗精神を描いた作品だという点から、プーチン政権から目の敵にされたのではないか」という見方もある。カンヌ映画祭審査委員長を務める女優ケイト・ブランシェットも「監督の拘束を解いてほしい」という請願に署名した。また今月9日の公式上映の際、ユ・テオをはじめとする同作のキャストとスタッフは、監督の名前を記したプラカードを持って入場した。