最近、冷麺が時ならぬ特需を享受している。今年4月に行われた南北首脳会談晩さん会に登場した玉流館の平壌冷麺のおかげだ。CNNが「冷麺外交(Noodle Diplomacy)」と名付けたほど、首脳会談の雰囲気をよりいっそう盛り上げた「冷麺」は今やただの食べ物ではなく、南北和解の象徴と考えられている。
冷麺は韓国人が最も愛する夏のメニューの一つと言われるだけに、全国各地にそれぞれ特徴のある冷麺が存在する。しかし、冷麺の特徴を見てみると、そのルーツは大きく四つの地域に分かれる。それはまさに「平壌冷麺」「咸興冷麺」「黄海道冷麺」「晋州冷麺」だ。
「平壌冷麺」は平安道平壌地域でよく食べられていた冬の料理で、トンチミ(ダイコンの水キムチ)や牛肉、鶏肉、キジ肉などを使ったスープにそばを入れたもの。現在、われわれがよく食べている水冷麺の多くが平壌冷麺をルーツにしていると言っても過言ではない。
「咸興冷麺」は咸興道咸興地方で主に食べられている混ぜ冷麺をさす。ジャガイモのでんぷんを使ったコシの強い麺に粉唐辛子を入れたタレを加え、混ぜて食べるのが特徴で、カレイの刺し身などを和えて麺の上にのせて「刺し身冷麺」と呼ばれることもある。韓国の江原道束草地方の辛いスケトウダラの刺し身冷麺も咸興冷麺に由来するものだ。
「黄海道冷麺」は平壌冷麺に比べて麺が太く、豚肉のスープにしょう油、砂糖を入れて味を付ける。蒸し豚の薄切りをのせる京畿道楊平郡の玉泉冷麺、スープにイカナゴの魚醤を加え、甘みを出す仁川ペンニョン島冷麺は、黄海道冷麺に由来する。
「晋州冷麺」は唯一、北朝鮮ではなく韓国の慶尚南道晋州発祥の水冷麺で、カタクチイワシなど海鮮スープ、牛肉のジョンをのせるのが特徴だ。