「実感がありません」
ロシア映画『Leto』(英題:『The Summer』)で主演し、カンヌ国際映画祭に出席した韓国系ドイツ人俳優ユ・テオ(37)=テオ・ヨー=が「実感がありません」と語った。
これは、ユ・テオが13日午後(現地時間)、フランス・カンヌ映画振興委員会のブースで、韓国の報道陣に会って語った言葉だ。ユ・テオは第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門招待作で、ロシアのキリル・セレブレニコフ監督の『Leto』の主人公を演じ、生まれて初めてカンヌのレッドカーペットに立った。
『Leto』は高麗人(韓国系ロシア人)で旧ソ連の伝説的ロック歌手ビクトル・ツォイを描いた作品。ユ・テオはなんと2000倍という競争率を突破してビクトル・ツォイ役を手に入れ、熱演した。韓国系ドイツ人のユ・テオは2009年の韓国映画『女優たち』でデビュー、『コードネーム:ジャッカル』(12年)、『情熱みたいなこと言ってるね』(15年)など韓国映画をはじめとする多国籍プロジェクトに携わってきた。
ユ・テオにカンヌに来た感想を聞くと「とてもいいですね」と明るい笑顔を見せ「15年間無名俳優だったのに、このような場で注目していただけるなんて。本当にうれしいです」と答えた。
そして「時差ぼけで疲れていますが、その疲れもいいし、忙しいのもいいし、注目されているのもいいです。楽しいです」と語った。
さらに「カンヌは夢のような所。スポーツ選手で言えばオリンピックの晴れ舞台です。それもコンペティション部門に招待されるなんて、決勝に進出したということじゃないですか。『これはどいういうこと?』という気持ちです。実感がありません」と言ってまた笑った。
ユ・テオ9日、『Leto』のガラ・プレミアに出席するため、カンヌのレッドカーペットに立ち、セレブレニコフ監督の釈放を要求した。同監督は『Leto』の終盤の撮影中だった昨年8月に逮捕され、家宅拘禁中だ。運営中だった劇場の公金を横領した疑いがあるというのが表向きの理由だが、常に反政府的だった同監督に対してプーチン政権が圧力を加えたのでは、というのが大方の見方だ。
このため、ユ・テオはじめとする『Leto』の出演者たちは、セレブレニコフ監督の名前が書かれたプラカードを持ってレッドカーペットに立ったことでも注目を浴びた。
来月ロシアで公開予定の『Leto』は、韓国でも版権が買い付けられ、来年に韓国で正式に上映される。