体は50歳でも心は20歳…お茶の間が熱中する「中年ラブストーリー」

若者のテレビ離れで人気は「青春物」→「大人のラブストーリー」へ

▲SBS『まずキスをしましょうか』は離婚後の債務に苦しむキム・ソナ演じるヒロイン=写真左=と、かつて売れっ子コピーライターだったカム・ウソン演じる男性主人公が恋に落ちる「大人のラブストーリー」だ。写真=SBS
▲ ▲SBS『まずキスをしましょうか』は離婚後の債務に苦しむキム・ソナ演じるヒロイン=写真左=と、かつて売れっ子コピーライターだったカム・ウソン演じる男性主人公が恋に落ちる「大人のラブストーリー」だ。写真=SBS

 「体は50歳なのに、心は20歳のようにウキウキするなんて恥ずかしいですね」
 「ありがとう。誰かが私を求めている感じ。本当に久しぶりなんです」

 「リアルな大人のラブストーリー」を掲げて2月20日にスタートしたSBSドラマ『まずキスをしましょうか』のワンシーン。一晩を共に過ごした中年男女を演じるカム・ウソンとキム・ソナのやりとりに、視聴者の胸が躍る。時にみじめで時にくだらなく見えるが、「離婚を経験した中年男女の愛の方がむしろ現実的だ」と評判になり10%台の視聴率を安定して出している。

 お茶の間が中年男女のラブストーリーに染まっている。キム・ナムジュとチ・ジニが熱演したJTBC『ミスティ』が話題を集めると、そのバトンをMBC『手をぎゅっと握って、沈む夕日を眺めよう』が引き継いだ。小学生の娘がいるヒョンジュ(ハン・ヘジン)は脳腫瘍(しゅよう)で余命宣告を受けた後、主治医ソクチュン(キム・テフン)と恋に落ちる。ヒョンジュの夫ドヨン(ユン・サンヒョン)は10年ぶりに現れた初恋の人ダヘ(ユ・イニョン)に揺れる。きれいな包み紙でラッピングされているだけの「不倫」ではないかとの指摘もあるが、チョン・ジイン・プロデューサーは「自分の命を救ってくれようとする医師に対する希望が愛に発展する過程をただの不倫だと考えるのは難しいだろう」と話す。

 60代の「熟年ラブストーリー」も登場した。KBS『一緒に暮らそう』は妻と死別した後、一人で暮らすヒョソプ(ユ・ドングン)の前に、36年前の初恋の人ミヨン(チャン・ミヒ)が現れるというストーリー。制作発表会でユ・ドングンは「父親である前に男としての時間を見いだす面白さがある」と言った。

 中年男女のラブストーリー人気は、青春ロマンス物の衰退と対照的だ。男性アイドルグループHIGHLIGHTのメンバー、ユン・ドゥジュンを前面に押し出したKBS『ラジオロマンス』は視聴率3%台にとどまったまま3月20日に終了したし、女性アイドルグループRed Velvetのジョイと俳優ウ・ドファンが男女主人公を演じたMBC『偉大な誘惑』は2%台で苦戦している。「財閥一族の子どもたちのラブストーリー『花より男子~Boys Over Flowers』(2009年)や『相続者たち』(13年)の大学生版」と皮肉られ、今ひとつだ。シン・インス漢陽大学文化コンテンツ学科兼任教授は「若者の即席ロマンチックコメディーではなく、中年の現実的で真摯(しんし)なラブストーリーが魅力を増している」と話す。

 10代のテレビ離れが進み、ドラマを「中年化」させているという分析もある。キム・ゴンスク安東大学融合コンテンツ学科教授は「動画共有サイト『ユーチューブ』やポータルサイト『ネイバー』のクリップ映像に慣れている若い世代は、もうスパンの長いテレビドラマを消費しない。だから結局、テレビの前に残ることになる中年層をターゲットにしたラブストーリーを作るしかない」と話す。あるドラマプロデューサーも「広告の基準となる指標は視聴率なので、中年層をターゲットとしたドラマが増えることになるだろう」と語った。

イ・ヘイン記者
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