どこまでも続く干潟に赤い夕陽が差し込む。西海(黄海)の夕日は干潟と調和をなし、よりいっそう絵のような風景をつくり出す。全羅北道コチャン干潟を訪れたのは、夕日のためだけではない。生き生きとした干潟に出会えるからだ。
コチャン干潟は全羅北道扶安郡に面するコムソ湾一帯の心元面、扶安面、興徳面にわたって広く形成されている。セマングム干潟が埋め立てられ、コムソ湾の干潟が全羅北道に残る最も大きな干潟となった。コチャン干潟は砂干潟に岩盤、泥干潟、塩湿地がそれぞれ独特な生物群集を構成している。韓国最大規模のアサリの産地であり、シオフキやイソガニなどの生物、アシやマツナなどの塩生植物、シギやマガモなどさまざまな鳥類が生息している。こうした生物学的価値を認められ、2007年に「湿地保護地域」に指定され、2010年には隣接する扶安干潟とともに45.5平方キロメートルがラムサール条約登録地となった。2013年に全地域が国連教育科学文化機関(ユネスコ)生物圏保護区に登録されたコチャン郡内でも中心の地域と言える。
コチャン干潟では生態体験ができる。干潟を体験しながら、生きた干潟をより身近に感じることができる。心元面万突里、下田里の干潟体験場が代表的だ。毎年夏になると干潟フェスティバルが開催される。万突干潟体験学習場では定置網漁や潮干狩り体験ができる。シオフキやカガミガイなどの貝を2、3キログラムとることも可能。20人以上の団体は塩田体験もできる。体験のため干潟に出るときに乗る大きなトラクターが印象的で、干潟の上を走る気分は何とも言えない。干潟体験は潮の満ち引きがカギ。体験可能な時間を前もって確認してから体験場に行くとよい。体験料は大人1万2000ウォン(約1200円)、乳幼児6000ウォン(約600円)。
万突里の干潟近くにある西海岸風の公園も、干潟をすぐそばで眺められる場所だ。展望台からは広大な干潟を一望でき、観察デッキ、風車などが干潟に沿って設けられている。日没に合わせて訪れると、美しい夕日を眺めることができる。