ジョンヒョンさん自殺、専門家はどう見るか

「華麗なステージ上の自分と孤独な自分、自我乖離が大きかった」

ジョンヒョンさん自殺、専門家はどう見るか

 人気男性アイドルグループ「SHINee(シャイニー)」のメンバー、ジョンヒョンさん(27)は優れた歌唱力を持ち、作曲もできる実力派歌手だった。母親や姉との関係も良好だったし、人々にうらやまれるようなスーパーカーも持っていた。しかし、19日に公開された遺書には「僕は僕を憎んだ」「僕は完全に一人だった」「なぜこんなにまで痛いのか、不思議なことだ」「僕よりもつらい人たちもちゃんと生きているのに」などと書かれていた。今年5月のインタビューで、ジョンヒョンさんは「母と姉が幸せになることが生きる一番の目標だったが、2人とも幸せだと言っていた。とてもうらやましかった。僕はそうじゃないのに。僕も幸せになりたいと言ってポロポロ涙をこぼした」と語っていた。ジョンヒョンさんはなぜこれほどまでにつらい思いをしていたのだろうか。

 自殺を望む人々の相談を30年間にわたり受けている「いのちの電話」のハ・サンフン院長(57)は「有名人ほど心の中に2つの自我を抱えて生きている」と話す。同院長は「『人気もお金もある素晴らしい存在』が一方の自分だとすれば、『孤独でつらくて弱くて揺らいでいる存在』はもう一方の自分だと言える。ジョンヒョンさんはこの2つの自分の乖離(かいり)がほかの人よりもはるかに大きかったのだろう」と分析した。

 ジョンヒョンさんの所属事務所SMエンターテインメントは「ジョンヒョンさんはうつの症状を抱えていた」と言った。ハ・サンフン院長は「うつの代表的な症状は『自己否定』だ。自己否定的な感情に陥ると、将来の生き方に対する動機づけをやめてしまうようになる。ジョンヒョンさんは具体的な自殺の計画を立てるほど、かなり危険な状態だった。薬物治療やカウンセリングを受けるべきだった」と語った。

 「ジョンヒョンさんはインターネット上の悪意のある書き込みのせいで自殺した」という声もある。ハ・サンフン院長は「有名人が自殺すると、多くの人が大きな喪失感と衝撃を受けると同時に、明白な原因を見つけて非難し、責任を消そうとする心理的現象が起こる」と見ている。

 その上で、「自殺の危機に陥っている人がいたら、批判するのではなく、その人の話に耳を傾けなければならない。誰か自分の話を聞いてくる人がいると分かれば、自殺の衝動は徐々に小さくなる可能性がある」と助言した。

韓慶珍(ハン・ギョンジン)記者
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